第5話
しおりを挟む
シャルはレンの傷を癒そうとしてくれたが、あの鞭には特殊な魔法がかけられている。
魔法で治る傷でもなく、そして治りが極端に遅い…家に残されている拷問用の道具だ。
「魔法を使って癒すと直ぐに知られてしまうの…また怒られてしまうから」
とレンは丁重に断ると、切れた箇所には薬を塗り込み、手当てを一つ一つ丁寧にやってくれ、レンは嬉しそうに微笑むとシャルも笑みを浮かべてくれた。
その後、レンがちゃんと帰れてるか心配したのだろう、アーサーが尋ねて来てくれた。
この傷では誰にも会いたくはなかったが、ちゃんと別れていなかったのだ、仕方ない。
そう思い許可を出せば父親の姿現しにくっついて双子の姿もあった。
初めて足を踏み入れたクレスメント別邸。それに双子は声を上げようとするも、直ぐに家の中をゆっくり見る事もなく慌ててレンの側に駆け寄りレンを挟むようにしゃがんでくれる。
「どうした?」
「誰にやられたんだ?」
客人にシャルは姿をみられまいと姿を消している。床に傷だらけで座っているレンが不思議だったのだろう。
アーサーもレンの前に急ぎ足で近寄れば膝を付いてその傷を見遣る。
「あー…その、いつもの事なの。心配しなくて大丈夫だから。」
「「いつもの事だって!?」」
双子は怒ったように声を上げ、レンはどう反応したら良いのか判らないといったような困惑した表情をしてしまう。
「これは…まさか、キミの伯父さんが?」
「えぇ。私が…その…叔父にとっての良い子じゃないから…」
「だからといって…普通の傷じゃない。闇の魔法がかかっている拷問道具の傷じゃないかね?」
「そうです。あ、でも手当ては結構です。魔法を使って治したのが知られてしまうと…その、伯父の所に知らせがいってしまって、もっとしかられてしまうので…下手したらここで一人暮らし出来なくなってしまいますし…その、大丈夫ですから、無事に家に帰ってますし心配なさらないでください。」
レンは安心させようとにっこり微笑むが、双子もアーサーもそれで引き下がるような人物ではなかった。
6/9
←前へ    次へ→
目次へ