第6話
「さぁ、みんな耳当てをひとつずつ取って」
と先生が言うと、皆一斉にピンクの耳当て以外を一斉に取ろうと揉み合いレンは何故そんなにピンクを嫌がるのか判らず首を傾げながらピンクの耳当てを取ると元の位置に戻りその様子を眺めてしまう。
「私が合図したら耳当てを付けて、両耳を完全に塞いで下さい。耳当てを取っても安全になったら私が親指を上に向けて合図します。」
先生はそう説明すると「耳当てつけ!」と合図をしたので皆一斉に耳当てをつけレンも耳当てをつけると、そのまま先生の方を見続ける。
ハリーはこのマンドレイクが危険なんて思えないという様な表情をしていた。
先生は皆が耳当てをつけているのを確認すると、ローブの袖を捲り上げ、植物を一本しっかり掴みグイッと引き抜いた。
土の中から出てきたのは、泥んこの小さく、決して可愛いとは言えない男の赤ん坊だった。
頭の天辺から葉っぱが生えているし、肌は薄緑色でまだらになっている。
赤ん坊は声の限りに泣き喚いている様子だったが、耳当てのお蔭でその鳴き声は耳に届く事は無かった。
先生は、テーブルの下から大きな鉢を取り出し、マンドレイクをその中に突っ込み、葉っぱだけが見えるように堆肥で赤ん坊を埋める。すると手袋から泥を払い、親指を上に上げ自分の耳当てを外した。
「このマンドレイクはまだ苗ですから、泣き声も命取りではありません。しかし、苗でも皆さんを間違いなく数時間気絶させるでしょう。ですから、耳当てはしっかりと当てるように。片付ける時間になったら私が合図します」
先生はそう言うとグループを組む事を指示し、植え替えの鉢の場所、堆肥の袋の場所を教える。
レンはハリーが誘うままにグループを組み、その他にハッフルパフの男の子が加わった。
「ジャスティン・フィンチ・フレッチリーです」
男の子はハリーと握手をしながら明るい声で自己紹介をする。
「君の事は知ってますよ、有名なハリー・ポッターだもの。」
レンはその台詞を聞くと少しだけ眉を顰め、なんだか好きになれそうもない人だと思ってしまう。
「それに君はハーマイオニー・グレンジャーでしょう?何をやっても一番の。」
ハーマイオニーはそう言われて、ニッコリ笑って握手に応じている。
きっと褒められたのが嬉しいのだろうとレンは思いながら、それぞれの鉢にドラゴンの糞の堆肥を詰め込んでいく。
「それから、ロン・ウィーズリー。あの空飛ぶ車、君のじゃなかった?」
ロンはニコリともせずレンの側に来ると、レンの動作を見ながら同じ様に作業を進める。
レンはそれに苦笑を浮かべると、ジャスティンと目が合ってしまった。
「君は、レン・クレスメントですよね?あのクレスメント家の次期当主様で、優秀な方なんですよね」
「時期当主は伯父様の子がいずれ継ぐと思うわよ。私興味ないもの…優秀でもないし、平和に暮らせたらそれで良いわ。」
レンは完璧な作り笑いを浮かべ返答すれば、直ぐに作業に戻る。
彼はロックハートのファンらしく、本の内容がどうだとか、素敵な人だとか褒めていたし、ホグワーツに来れた事が凄く嬉しいと楽しそうに語りかけていたが、レンはさっさと耳当てを当ててしまう。
周りの皆が耳当てを当て終わると、先生が合図をしたのでそれを見てからレンはマンドレイクを引っこ抜いた。
先生はとても簡単そうにしていたが、実際にやってみると、そうでない事が嫌でも判った。
土から出るのを嫌がったり、一旦出ると元に戻りたがらなかったし、抵抗するのにもがき、蹴り、尖った小さな拳を振り回し、ギリギリ歯軋りしたりと、思いつく限りの抵抗を繰り広げる。
実際、人間の赤ん坊もこんなに手がかかるのだろうか…そうしたらきっと自分の面倒を見てくれていたシャルは相当大変だったんだろうな…。とレンは思いながら暴れるマンドレイクに一発デコピンをし、無理矢理鉢に押し込み堆肥を葉っぱから下が見えなくなる位に土を被せた。
皆、授業が終わると汗だくの泥まみれだった。
レンは何とかてこずらずに終わった方だったらしいが、ハリーもロンも体があちこち痛いとこぼしていた。
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