「怪我したみたい」
「手を見せて」
レンは立ち上がり、その手を両手で優しく包む。
するとレンの手が淡く優しい光を放つとゆっくりとそれは消えた。
そしてレンは手を退かすと、その傷は綺麗に癒えていた。
「おおおおおおお」
それを見ると、車掌は驚き目を丸くしていた。
多分、レンが何者か判ったのだろう。
「彼を、漏れ鍋まで連れて行って欲しいのだけど、御願いできますか?」
レンがそう言うと、彼は言葉をなくしたように大きく何度も何度も頷いた。
そんな時ハリーは転がっていた杖を拾い上げ、先程の犬が気になったのかそちらの方を見ていた。
「これ、その代金。残りは貴方のチップ代わりにどうぞ」
そう言い、多めにお金を手渡せば、彼は頬を紅く染め上げた。
レンはハリーの側まで歩いていく。
レンに気付くと「もう居なくなってる」と小さく零した。
「大丈夫、何てことないわ。さ、ナイト・バスに乗せてもらって、漏れ鍋に行って?私は先にもれ鍋にいって知らせてくるから。」
レンがいうと「判った」とハリーは頷いてみせた。
「いってらっしゃい。舌を噛まないように気を付けてね?」
レンがそいういうと、ハリーは意味が判らなさそうにした。
ナイト・バスにレンは乗った事がないが、話によるととても運転が乱暴なのらしい。
「それじゃ、また漏れ鍋で…会えたらお会いしましょう」
レンはニッコリとそう言うと、その場から姿くらましした。