「キミは私にずっと逢いたいと思っていたと言ってくれた。私もずっとキミに逢いたかった。」
「私に?」
「私のキミに対しての記憶は吸魂鬼にも吸い取る事が出来なかった。キミを思い出す度に逢いたいと…そう思った。今はその理由は話せない。グリフィンドールに行った理由もだ。」
シリウスがそんな風に自分の事を思っていてくれたとは夢にも思っていなかった。
一度もあった事がないと思っていた相手だ。その人がアズカバンの監獄の中で思い出す度に逢いたいと思ってくれていた…。
それだけでもレンは胸がいっぱいになる思いだった。
「吸魂鬼にも吸い取れないという事は…シリウスは私に対して幸福ではない思いがあるのね…。」
吸魂鬼は実際に幸福な記憶を消すという訳ではなく、それを思い出させない程に辛い記憶ばかりを呼び覚まし幸福な記憶を思い出せない様にしてしまう事から、吸い取ると表現される事が多い。
つまりはそれが出来ないという事は…そういう事なのだろう。
「私にとっては愚かな記憶だ。…今成し遂げようとしている事が終わったら、全てを話しに行こう。…それまでもう此処に来るのはよした方が良い。キミを巻き込みたくはない。」
「私では貴方の力にはなれないのですか?」
そう小さく尋ねれば、これ以上キミに申し訳ないと思う気持ちを増やしたくない…そういうような切実な瞳をシリウスはしていた。
シリウスが自分に何をしたのかは判らない。だが、これ以上関わるなと、そう言われてしまえば…レンは「判りました。」と小さく答えるしかなかった。