「あの…知っているかもしれませんが、クレスメントの血はその脳裏に焼きついた記憶を決して忘れさせてはくれません。…それがどんなに恐ろしい事でも。産まれてから今でも夢に見て魘されてどうしようもない気持ちに襲われる記憶がひとつだけあるの。それはヴォルデモートとの記憶であってシリウスの事ではない。だから、私なんかの事でそんなに気に病む言い方をししないで下さい。貴方に憎まれ恨まれ嫌われる事はあっても、貴方の事を当時の私は憎んでも怒っても恨んでもいない…勿論それは今も変わりません。」
真っ直ぐにシリウスを見つめそう言うと、シリウスはとても驚いた様な表情をしていた。
レンはそんな姿に優しく笑んでみせてから暴れ柳の根元の穴を出ようとすると、バキッという音と共に何か上から降ってくるのが判った。
シリウスは素早くレンの手を引き、自分の背に隠し盾になると、警戒しそちらをじっと睨みつける。
だが、上から降ってきたのは木片だった…レンはその木片に慌てて近寄る。
「ニンバス2000…ハリーのだわ…」
穴の中に姿を隠したまま、シリウスはレンを心配そうに見つめ、レンは自分の心配だと言う気持ちを心の中に押し込み、マントを脱ぐとその木片と全てマントで包む。
「きっとハリーは大丈夫。私、ハリーの所に行ってきます。」
シリウス…そう言いかけた時だった。
シリウスは誰かに聞かれたら不味いと自分の唇の前で人差し指を立て「私は仲間にパッドフットと呼ばれていた。キミも外ではそう呼ぶと良い。」と小声で言えば、レンは小さく微笑む。
「パッドフット…私は何時でも貴方の味方です。なんでも1人で片付けようとしないで下さい。」
レンはそう言うと、その返事を待たずに駆け足で競技場へと向かう。