第18話
それから毎日レン達はハリーの側にお見舞いに行った。
チームメンバーもジニーもハリーを見舞ったが、ハリーは塞ぎ込んだままの様子だった。
「ねぇレン…キミに聞いてもらいたい事があるんだ。」
そろそろ寮に戻らなくてはいけない時間になりかけた頃、ハリーはレンにそう声をかける。
ロンとハーマイオニーも首を傾げたが、それ以上ハリーが何も言わなかった為、2人は何か思うところがあるのか、気を利かせて先に寮へと戻って行く。
ハリーは2人がいなくなった事を確認すれば、小さく息を吐いた。
「ハーマイオニーに言えば笑われそうだし、ロンに言えば心配しそうだから言いたくなかったんだけど…笑わないで聞いてくれる?」
「勿論よ。」
「…僕…箒から落ちた時…またあの時の犬を見たんだ。あれは本当にグリムなのかもしれない。僕が死ぬまでずっと…」
「ハリー…あれはグリムではないわ。グリムは墓場に取り憑いているのよ?私はその時見ていなかったけれど、間違いなくただの犬よ。」
レンがそう言えば、どうしてそう言えるの?とハリーは不思議そうに首を傾げる。
「クルックシャンクスのお友達みたい。私がクルックシャンクスを追いかけたって言った日覚えてる?あの日、森の中で黒い大きな犬とクルックシャンクスと遊んでいる所を見たのよ。クルックシャンクスが珍しくゴロゴロと喉を鳴らしていたから良く覚えているわ。」
レンがそう言えば、ハリーは少し安心した様だった。
「吸魂鬼は…どうして僕だけを襲うんだろう…。」
ハリーは消えそうな程小さな声でそう漏らす。
もしかしたらレンに心配かけたりしたくないのかもしれない…
「確かな事は言えないけれど、吸魂鬼は平和や希望、幸福を吸い取るわ。あの時はクィディッチの試合で多くの人の楽しい気持ちや興奮があそこにはあった。ずっとホグワーツの警備で飢えていた吸魂鬼が惹かれる様にあの場に現れたんじゃないかな、って私は思うの。それにハリーに吸魂鬼が興味を惹かれる理由は、ハリーは周りの生徒達にはない恐怖の体験があるわ…だからかもしれないわね。汽車の中で、私やジニー、ネビルも影響を受けた。それを考えるとね…ネビルは良く判らないけれど、私にもジニーにも同じ様に周りとは違う恐怖体験がある…なんて、私なりの解釈だけれど。念の為に言っておくけれどハリーが弱いからとかで寄ってくるんじゃないわよ?それでも不安だったらルーピン先生に聞いてみると良いわ。あの人はお兄さんみたいな優しい人。きっと力になってくれる。」
レンがそう言えば、ハリーは少しだけ微笑んで見せただけだった。
「あのさ…」と声を漏らしても「やっぱりいいや」というのを止めてしまったりして、ハリーはそれ以上何も言わなかった。