マクゴナガルが宥めるがハグリッドは止まらなかった。
「あの家からハリーを助け出したのは俺だ!崩れた家からハリーを連れ出した。可哀相なちっちゃなハリー。額に大きな傷を受けて両親は死んじまって…。そしてシリウス・ブラックが現れた。いつものオートバイに乗って!アクアに言われて様子を見に来たとな。奴は事実を知って真っ青になって震えとったわ。俺が何をしたと思うか?俺は殺人者の裏切り者を慰めたんだ!!」
守人が誰だか知らなかった…そうハグリッドは大声で嘆く。
違う…違うんだ…レンは大きな声でそう叫びたかった。
けれどそれを信用してもらうものが何ひとつない…。
ぎゅっと握り締めた拳から血が滲んでいたし、熱いものがこみ上げてくる。
悔しくて悲しくて…こんな話を聞いていたくないと思った。
何より…そんな事実と違う事をハリーに聞いて欲しくない。
レンは今の内に外に出ようとハリーを引っ張ったが、ハリーは真剣な眼差しで話に聞き入り、そこから動こうとはしてくれなかった。
そんな間にも話はドンドン進んでいく。
シリウスはハリーを受け取りたいと申し出たが、ハグリッドはダンブルドアが親戚に預けると言っていた事を告げれば、諦めて自分の大切にしていたオートバイを「ハリーを守るのに使ってくれ」とハグリッドにあげたそうだ。
その後シリウスの行動をピーター・ペティグリューという友達の1人が食い止めたらしい。
ホグワーツに居た頃は2人の後にくっついていた太った小さな男の子…そんな彼が、自らシリウスを追い、最後には「シリウス!よくもそんな事を!」そう言うと、指一本の欠片を残し多くのマグルと共に木っ端微塵に吹っ飛んだのだ。
その後、シリウスは魔法警察部隊から派遣される訓練された特殊部隊が20人がかりで捕え、アズカバン送りになったのだという。
ファッジは今もその光景を夢に見るのだという…道の真ん中に深く抉れたクレーター…その底の方で下水管に亀裂が入っていた。
死体が累々…マグル達の悲鳴…血だらけのローブと僅かの肉片…そこに仁王立ちし笑っていたシリウスの姿…。