最近視察にファッジが行った時のブラックは、ファッジの持っていた新聞を懐かしそうに見て「クロスワードが懐かしい」とその新聞を欲したほど吸魂鬼の影響を受けていなかったのだとファッジは漏らした。
「でも…あの恋人もさぞかし辛かったでしょうね…。」
マダム・ロスメルタは長い溜息を吐き、そう言えばファッジは更に声を落とす。
「アクア・クレスメントもまた、ブラックの被害者だな…真相は不明だが、もしかすれば服従の呪文にかかっていたのではないかと噂する者もいる。ブラックの逮捕後、彼が犯人では無いと訴え続け、それが受け入れられないと判ると絶望から自害したと聞く。」
その言葉にレンは耳を疑った。
恋人…シリウスが…母の恋人?
「あの子も可哀想な子です…愛を知らずに育った…あの家でずっとたった1人で…レンも愛されたかったでしょうに。ダンブルドアが頼み込んでくれるまであの屋敷に…軟禁状態で…頻繁に拷問道具で仕置され続けても心が壊れてしまわず、今の優しい彼女でいてくれた事に驚くばかりですよ。」
マクゴナガルは少し鼻の詰まった声でそう言った。
「あの子の父親が誰かは殆どの者が知りません。そして、あの子は…ブラックが例のあの人にポッター夫妻の居場所を教えたとされるあの日に誘拐され、ヴォルデモートの手の内に居たのです。そしてあの事件の日にその現場に連れて行かれました。ある人があの子をあの現場から救い出しダンブルドアの元へと連れて来てくれたのですよ。」
自分が何故あの場に居たのかは不思議に思った事はあった…だが、そんな事があったとはレンは思いもしなかった。
「あの場にレンが!?」
ハグリッドもそれに驚いたようだった。
「俺はあん時、あの子を置き去りにしたってのか!?あんな優しいあの子を…いつも俺を支えてくれとるあの子を…」
ハグリッドは瞳に涙を沢山溜めてそう呟けば、マクゴナガルが慰めるように背を撫でてやった。
「それでは、ブラックは恋人の子供を手土産に例のあの人の所へ行き、情報を渡したと?」
マダム・ロスメルタの言葉にファッジは大きく頷いた。
「我々はそう考えておる。」
「ブラックは何の為に脱獄したんですの?」
「我々は…最終的な企てとしては例のあの人とまた組む事、そこにクレスメントの力を引き入れる事…それが目的なのではないかと考えている。しかし我々は間も無くブラックを逮捕するだろう…。」
そう宣言すると、マクゴナガルが「校長と食事をしたいのならそろそろ戻らなくては」と言う声で皆解散となった。