第21話
その場がまた落ち着きを取り戻した頃、ハリー達はゆっくりと店から出た。
少しだけそのまま歩き、叫びの屋敷という建物が見えるひらけた場所に来た時、ハリーはゆっくりと言葉を呟く。
「アイツが裏切ったんだ…友達だったのに…」
ハリーの声はとても辛そうな憎しみが篭っていそうな…そんな声だった。
「ハリー…」
「来るなら来い!敵を取ってやる!!」
ハリーはその場に当り散らすかの様に叫ぶ。
幸い周りに人気はない…。
「ハリー、お願いだから止めて頂戴。」
ハーマイオニーは瞳に涙を浮かべてそうハリーに声をかける。
「吸魂鬼が僕に近付く度に僕が何を見たり聞いたりするか知ってるかい?母さんが泣き叫んでヴォルデモートに命乞いする声が聞こえるんだ。もしキミ達が自分の母親が殺される直前にあんなふうに叫ぶ声を聞いてたらそんな簡単に忘れられるものか。自分の友達だと信じていた誰かに裏切られた、ソイツがヴォルデモートを差し向けたと知ったら…」
ハリーのその告白にレンは胸が締め付けらる。
自分の父親がハリーからかけがえのない者を奪ってしまった。
しかもその場に…自分も居たのだ…。助けたかった、誰一人死んで欲しくなどなかった。
大好きなあの人達を護りたかった…。
生まれて1年半な子供の脳裏に、何故かその事だけははっきりと焼きついていた。
世界がシリウスを裏切っても信じなくても、何よりもハリーのただ一人の家族になれる可能性のあるシリウスを、ハリーが信じてあげて欲しい。
母親が命を落としてまでも信じ無実を訴えた人物の事を信じていたかった。
そしてそれが貶される事がとても悲しかった。
「あの現場の全てを私ははっきりと覚えているわ。ハリーのご両親がどの様に亡くなったか、どの様な表情をしていたか…泣いていた貴方が、自分に杖を向けたヴォルデモートの姿が見えると、その涙を止めて睨みつけるその顔も…小脇に抱えられて何も出来なかった、あの人達を護れなかった…泣けば何かしらの魔法が発動したかもしれないのに…そんな強い後悔ばかり残ってる。…そんな私がハリーにこんな事を言うのは許されない事かもしれないけれど、ハリーだけはシリウスを信じてあげて欲しい。今聞かされた事は偽りの真実なの。母さんがずっと言ってたわ。シリウスは自分より強い者にヘコヘコとして親友を裏切るくらいなら死を選ぶ人だって。ジェームズさんを売るような腑抜けの意気地なしじゃない、彼を助けて、自由にしてあげてって…訴え続けてきたの。」
「でも生きているじゃないか!!」
ハリーは、シリウスに対する恨みや憎しみでいっぱいなのだろう。
レンが言う台詞がとても許せないといった様な表情で反論をし始めていた。