「シリウスは裏切っていないのよ。きっと守り人は別の人だったに違いないわ。」
「ヴォルデモートに僕の両親やキミを売った癖に、何処が裏切ってないんだ!」
「シリウスは、捕まった時に裁判も何もされずにアズカバンに入れられたのよ?シリウスは何も言えなかった。誰かにはめられた可能性だってあるの。」
あんなに人を殺したんだから当たり前だとロンやハリーが言う台詞が耳に届いたが、レンは敢えて聞こえないふりをした。
「母さんの日記には色々書いてあったわ。それを読んだって…」
「キミはヴォルデモートの娘だから、父親の片腕のブラックを庇いたいだけなんだろ!?本当はキミの母親もヴォルデモートの仲間だったんじゃないのか?!」
レンの台詞を割る様にハリーがそう怒鳴ると、怒りに任せて自分が言った言葉にハッとしている様で、ハーマイオニーは両手で顔を隠し俯いていて、ロンは驚いた様に固まっていた。
レンはゆっくりと深呼吸して落ち着かせてから口を開く。
落ち着くんだ…感情的になっては駄目なのだ…そう自分に言い聞かせる様に…。
「…そうね。あの人の娘の言葉なんて信じられないのは良く判るわ。でも良く考えて?ヴォルデモートに犯されて私を産んで壊れてしまった女性が、シリウスに支えられて生きていたの。そしてその人が無実の罪で捕まった。彼は違う、犯人は別にいる、彼ははめられたんだって、命をかけて訴えてたの。そんな事、自分の人生を狂わせた男の片腕の為に出来ると思う?…その人の気持ちだけは信じてあげて欲しい…母…アクアさんも、ヴォルデモートに死んでも従う人じゃない。」
レンは切なそうに微笑み、ハリーが「その…」と気遣わしげな声をかけたが、レンは彼らの前で涙を見せるのが嫌で「少し散歩をしてから帰るわね。」と一言言い残せば、その場を逃げる様に去った。
「言っただろ。アイツラにレンを理解するなんて出来ない。レンが傷つくだけなんだって。」
レンの後を追ってきたのか、ドラコがそう言いながらレンに近付いてくると、レンはドラコの事を見もしなかった。
自分でも良く判っている…今は負の感情で心が満たされている…きっと瞳の色が変わっているだろう…。
「あいつら皆、心の底ではそいう風に思ってるのさ。闇の帝王の子供だから…ってね。」
「それはドラコも、クラッブもゴイルも同じだわ。皆そうよ。闇の帝王の娘、そうでなければクレスメント家当主…誰も本当の私を見ようとはしないわ。」
「僕は…」
「ドラコ…お願いだから、そっとしておいて。1人にして頂戴…苦手でしょう?この瞳。」
レンがドラコを見上げ苦笑混じりにそう言えば、そのの怪しく輝く瞳にドラコは息を呑むも直ぐに「驚いただけだ。」といえば軽く咳払いをした。