その度にシャルが側にいてくれて…ハグリッドが…ダンブルドアが…リーマスが…色々な人が自分に生きようと思える力を分けてくれていた…周りの人が私を生かしてくれた。
多くの人に貰った恩を返す…それすら出来ず、大切に思ってきたシャル…唯一の家族の伯父夫婦…それらを何者かの手で奪われてしまい、そして…救いたい、力になりたいと思っているシリウスの何の力にもなれない無力な自分…。
レンはポロポロと涙を零し何度も「ごめんなさい」と小さく呟き、涙を腕に擦りつける様に拭うが、拭っても拭っても止まらなかった。
そんなレンを慰める様に犬は再度その頭をレンに摺り寄せ、レンはこの子が逃げ出す前は人に飼われていたんだろうなと思った。
こんなに人に慣れ、人の気持ちに敏感で…そしてこんなにも優しい心を持っている…。
レンはそんな犬の気持ちに応えようと身を離すと精一杯涙を止めようと頑張りながら「有難う」と犬に向かってお礼を言い微笑んだ。
だが、犬はまるで『無理をしなくて良い。』そう言っている様に溢れてくる涙を舐めて拭い、レンは小さく微笑んでみせた。
「私はね、呪われた血が流れてるの。人を沢山殺して不幸にしてきた人の血。…そんな人の血が流れてる私は、母さんを壊してしまった…その所為で…パパになってくれる筈だった人の人生も…きっと壊してしまってる。…そして、叔父様達や…大切なシャルまで死なせてしまった…魔法省が考えるには私の代わりに殺されてしまったみたいなのよ。…それでも、友達や母の親友が、こんな私を生かそうと支えてくれてる…最近出会ったキミや、シリウスもそう…。こんな壊すのが得意な私の側に居てくれる…そんな人達の力になりたかった…そんな人達には信じてもらいたった…。でも特別な力があっても、名に力があっても…肝心な時に何も出来ないの…嫌よね…。」
そう言い暫く黙っていればレンは「聞いてくれて有難う」と思い出したように呟いて離してやると、その場に膝を立てて座り、膝に顔を埋める。
犬はそんなレンの立てた脚の側で眠るように丸くなり動かなくなってしまう。
どうやらその場から動くつもりはないらしい…。
夜も更けてくれば、やっと気持ちも落ち着きを取り戻し立ち上がると、犬も一緒に動き始め、一度レンの顔を見てから何処かへ向かって歩き始める。
そんな後姿に有難うとお礼を言えば、それに答えるように尻尾が揺れるような気がし、その後姿が見えなくなるまで見送ると、レンは寮へと戻った。