暫くすると大広間の扉がまた開いた。
占い学の先生、トレローニーがまるで車輪が付いているかの様にスーッと近付いてきた事にレンは少し驚いた。
「シビル、これはお珍しい!」
ダンブルドアは嬉しそうに立ち上がった。
「校長先生、あたくし水晶玉を見ておりまして…あたくしも驚きましたわ。1人で昼食をとるという、いつものあたくしを捨て皆様とご一緒する姿が見えましたの。運命があたくしを促しているのを拒む事が出来まして?」
遅れてごめんあそばせ。とトレローニーが言えば、ダンブルドアは椅子を用意した。
が、トレローニーは、辺りを見渡して小さく悲鳴を上げた。
「校長先生、あたくしとても座れませんわ。あたくしがテーブルに着けば、最も不吉とされている数になってしまいますの!この数の人数が、共に食事をすれば、最初に席を立ったものが一番は最初に死ぬのですわ!」
「シビル、その危険を冒しましょう。…構わずお座りなさい。七面鳥が冷えきってしまいますよ。」
マクゴナガルはイライラした様子で言うと、トレローニーは迷った末、空いている席に腰を掛けた。
が、その様子は口も目もぎゅっと閉じたままで、マクゴナガルが何を言っても聞こえていない様子だった。
「ルーピン先生は…どうなさったの?」
トレローニーの霧の中から聞こえるような声が、辺りに聞こえレンはそちらを見れば、トレローニーはゆっくりと瞳を開き皆に尋ねた。
「お気の毒に、先生はまたご病気での。クリスマスに不幸な事じゃ。」
「でもシビル、貴女はとうにそれをご存知だったはずね?」
マクゴナガルは眉をピクリとさせて言えば、トレローニーは落ち着いた様子で頷いた。
「あたくし、内なる目を持っていないかの様に振舞う事が度々ありますのよ。皆さんを怖がらせてはいけませんから。」
「それで全てが良く判りましたわ!」
マクゴナガルはピリッと言い、霧の中からの様な声だったトレローニーの声が急にはっきりと話し始める。
「ミネルバ、どうしてもと仰るのなら…あたくしの見るところ、ルーピン先生はお気の毒に、もう長い事はありません。あの方自身も先が短いとお気付きの様です。あたくしが水晶玉で占って差し上げると申しましたらまるで逃げる様になさいましたの。」
「そうでしょうとも…」
マクゴナガルはさり気なく辛辣だ。
だが、ダンブルドアは「いやまさか。」と朗らかだが、少しだけ声を大きくして言えば、マクゴナガルとトレローニーの会話は終わりを告げた。
「ルーピン先生はそんな危険な常態ではあるまい。セブルス、ルーピン先生にまた薬を作って差し上げたのじゃろう?」
そのダンブルドアの言葉にレンはハッとした。
そういえば、今度の授業は毎月ある様な口振りだったが、今月の授業はまだだ…。
すっかり忘れていた…そんな表情でスネイプは見れば「はい、校長」とダンブルドアに返事をし、少しだけ口元を緩めた。
クリスマスだから?休暇があるから?…スネイプがそれを考えて今月の授業をしないでくれていたのだろうか…。
だが…考えても答えは出ない。ならば今はそんなことは考えない様にしよう…そう都合の良い方に考え、ゆっくりと食事の続きを始めた。