「おぉー忘れるところじゃった!」
少しの間撫で続けていると、急に声をあげるダンブルドアにレンはきょとんとした。
「レンにお使いを頼もうと思っておったのじゃ。」
「お使い…ですか?」
「左様。その帽子をプレゼントする人物にクリスマスの食事を届けて欲しいのじゃよ。」
ダンブルドアは少しだけ悪戯っぽく微笑み、レンは小さく頷いた。
ひとつの帽子を頭に被り、もうひとつを手で持ったまま、レンは校長室を後にし、キッチンへと急いだ。
其処では、この間の様に多くの屋敷しもべが忙しなく働いており、レンの訪れに、「お嬢様!」と嬉しそうな声をあげた。
此処に来ると、あの元気なシャルの姿が思い浮かぶ…。
シャルもこうして食事を作ってくれ…クリスマスの日には、ケーキやお菓子も作ってくれた。
姿を見かける事は少なかったが出来るだけ寂しくない様に…幼いレンが瞳に涙を浮かべれば、お話を聞かせてくれ…時にはハグリッドを呼んできてくれたり…本当に心の優しい屋敷しもべで、大切な家族で友達だった…。
干渉に浸っていれば1人の屋敷しもべがレンに声をかけ、その方向に視線を向ければ、2つのバスケットが用意されていた。
「2つ?」
「はいで御座います。ダンブルドア校長先生様はそう仰いましたで御座います。ですが仰った事は秘密なので御座います。」
届け先にその事は言うなという事だろうか…。
レンは誰に届けるのだろうとバスケットの中を見れば、ひとつのバスケットは少し軽めの体に良さそうな食事で、小さな花束も添えられている。
これは体調の悪いリーマス宛だろう…そう思いもうひとつの方を見れば、飲み物やらお肉などしっかりした食事がこれでもかという程に沢山詰め込まれている。
レンはそれを見て、先程食事をした時のメンバーを思い浮かべる…。
先生方で姿が見えなかった人物はリーマスだけ。
ダンブルドアは「その帽子をあげる人物に」と……。
ハグリッドにはこの帽子はサイズが合わない…そこまで考えれば思い浮かんだのは、ダンブルドアの悪戯っぽい笑顔ともう1人の姿。