「ごめんなさい!」
床に座ったままの状態で、レンは床に額がつきそうな程、頭を下げて何かを言われる前に自ら謝った。
どうしてだろう…なぜだか、シリウスに怒られる事がとても怖く感じていた。
殆ど面識が無い筈なのに…シリウスが伯父の様に自分を叱る姿が頭を過ぎり、小さく体が震えてしまう。
少しの間レンは頭をあげる事が出来なかったが、シリウスの吠える様な笑い声が部屋中に響き渡り、今度はレンが瞳を丸くする番だった。
頭を上げてシリウスの方を見れば、シリウスは笑いすぎて瞳に涙までうっすらと浮かべている。
「あ、あの…」
「もう、私の元へ来るなと言われて考え付いた方法がそれか?」
「はい…今日はクリスマスだから…その…シリウスとお話がしたかったの…。」
シリウスはまだ口元が笑ったままでレンにそう聞けば、レンは恐る恐るそう答える。
ゆっくりと立ち上がりレンの側まで来て手を伸ばしたシリウスに、レンは体がビクッと跳ね、俯き瞳をぎゅっと閉じる。
が、予想していたものとは違い、シリウスは優しくレンの頭を撫でてくれた。
「流石はアクアの子だ。アイツの血を受け継いでいる…だがアイツはキミのように謝りはしなかった。寧ろ何が悪いのか判らないといった風に開き直る。」
シリウスがこんなにも笑う明るい人だとはレンは思いもしなかった。
「それよりも、この帽子はなんだ?」
バスケットの蓋の上に置かれたハゲタカがついた帽子…シリウスはそれを摘む様に持ち上げてレンに見せた。
「あーダンブルドア先生が、スネイプ先生にクラッカーを鳴らすように手渡したの。それで彼が鳴らしたらその帽子が人数分出てきて…記念にどうぞ。」
シリウスはそこまで聞けば、これを被って姿を目撃されれば、良い笑い種で狂っているという話に拍車がかかるだろうと笑っていた。
レンはシリウスが帰れと言わずに、そう話を続けてくれた事に感謝をした。