それからレンは、リーマスの授業でボガートを習った時の事を話した。
ネビルがボガートのスネイプを、ハゲタカの帽子を被った祖母の服装に変身させてしまった、あの話だ。
シリウスは、スネイプを知っているのだろう…その姿を一度で良いから見たかったと笑い声をあげた。
「そう言えばね?今ホグワーツには悪戯が大好きな双子がいるの。それはどれも人を笑顔にしてくれる悪戯で、皆から慕われてる。」
シリウスはいきなり何の話だろうと、僅かに目を丸くしたがちゃんとその話を聞いてくれる。
「その子達がある古い羊皮紙を今よりも若い頃に見つけたの。悪戯が大好きな子が目を輝かせる品物よ。何だと思う?」
レンが楽しそうにそう言うと、シリウスは判らないと言いたげに首を傾げた。
「ムーニー、ワームテール、パッドフット、プロングズ。我ら「魔法いたずら仕掛け人」の御用達商人がお届けする自慢の品…」
レンがそこまで言うとシリウスの瞳が懐かしそうな色に代わりそして輝いた。
「あれはまだ此処にあったのか。」
「えぇ。その子が言ってたわ。諸兄にどんなにご恩を受けた事か…って。自分達のような後輩を助けようといわんばかりの品物に感謝してるって。」
伝えたわよ?感謝の気持ち。そう付け加えて悪戯っぽく微笑んでみせれば、シリウスもニヤリと笑ってくれた。
シリウスはアズカバンを脱獄してから1人の時が多い為か口数が少なかったが、レンはシリウスに色々な事を話して聞かせ、シリウスが食事をし終えた頃には辺りは真っ暗だった。
「そろそろ戻った方が良い。もう生徒は外に出てはいけない時間だろう?」
「…シリウス…」
レンはシリウスの言葉に少しだけ間を空けて、彼の名を呼ぶ。
シリウスは小さく首を傾げ、レンの言葉の続きを待っている様だった。
「…えっと……ううん、なんでもないの。そろそろ帰ります。遅くまでごめんなさい。」
レンは立ち上がり、バスケットを魔法で消し、思い出したかの様にシリウスを見つめれば、優しい眼差しを向けたシリウスと視線が合い、レンはそれにどこか照れくさそうに笑み「ブレスレット、有難う。」と言うと、シリウスは小さく頷いて笑み「気を付けて帰りなさい」と言ってくれた。
レンはそれを見てから、城へと戻って行った。
もう少し、彼と一緒に居たかった。そう我儘を言う事はとても贅沢に感じられた。