「レン、キミはシリウスと会っているんだね?」
リーマスは「まさかとは思っていたが、会っていたとは…」そう驚きともとれるような表情を浮かべ、レンはハッとし何も言えなかった。
「親友を…私も出来れば信じたいよ。友を疑うというのはとても苦しい事だ。」
リーマスは何も言わないレンの肩をしっかりと掴み、レンの目線に自分の目線を合わせて言い聞かせるように話し始める。
守人がシリウスだった事…守人が口を開かない限り、ジェームズの所にヴォルデモートが現れる事が出来なかった事…ピーター・ペティグリューが指1本と共に残した最後の言葉…そして…あの事件と間もない頃、レンは誘拐されヴォルデモートの側にいた…その、誘拐できる可能性が1番高いのは自分達仲間の内の誰かだという事…。
「シリウスを信じたくない訳ではない。私も出来る事なら無実であって欲しいと、夢であって欲しくと何度思った事か…」
「今話してくれた事のどれかひとつでも崩れたら、シリウスを信じてくれるの?」
レンは絞り出すように言えば、リーマスは溜息を吐き、真直ぐにレンを見詰めている。
「それはね、とても危険な事だよ。シリウスが無実だったとしても、真犯人はシリウスが脱獄した事で神経質になっているだろう。そこでかぎ回る人物が現れればそれは勿論…邪魔者として排除しようとする。それこそシリウスが無実だったらソイツが大量殺人鬼なのだからレン1人殺す事なんて何とも思わないだろう。判るね?」
「きっと…シリウスも同じ考えなのね。私が聞いても今は話せない…そう言われるだけで何も教えてくれないわ。目的を成し遂げたら話しに行くからもう来るなって言われているの。」
リーマスには嘘を吐く事はしたくなく素直にそう言えば、リーマスも真剣に聞いてくれている。
「でも、私は自分で調べたってシリウスの無実を証明したいと思っているわ。」
「レンの気持ちは良く判った。けれど危険な事はしてはいけないよ。シリウスが無実で安全だとしても吸魂鬼に見つかればキミもただでは済まない。シリウスも自分の事でレンが友達と喧嘩したままという事のもさせたくはないだろう…私もそういう気持ちだよ。…今のキミは…1人を好んで…まるで手紙のやり取りを始めた頃の様だ。」
リーマスの表情はとても心配そうだった。
このままレンが心を閉じ、1人で動くようになってしまえば…もしかしたら闇の魔術に染まってしまうかもしれない…父の方へ行ってしまうかもしれない…そう思っているのかもしれないと考えてしまった自分に苦笑する。
「ハリーとはシリウスの一件が片付くまでこのままだと思うわ。ハリーはシリウスが犯人だと思っているし、私の考えも許せないみたいだから。私…信じてもらいたいけど何から調べて良いかすら判ってないの…だから長引くと思うわ。話を聞こうにもシリウスの所へは行けないし居場所も誰にも言わない。そう約束したから…。リーマスの事も裏切りたくないから、言える事はちゃんと言うわ。けどシリウスの事も同じくらい信じ裏切りたくない自分がいるの。数度しかあった事ない人にどうして此処まで想えるのか自分でも不思議だけれど、リーマスもシリウスもとても大切なの。」
リーマスはそこまで聞くと「シリウスの件はそれでも構わない。けれど出来ればハリーと仲直りして欲しいよ」と言い、それに「シリウスが犯人だと思うと認める事はできない。」と言ったっきり何も言わずに俯いたままのレンを見れば苦笑を浮かべ、そっと彼女の頭を撫でた。