だが、ハーマイオニーがこんなにも自分の前で泣きじゃくる事はとても珍しい事だ。
レンはハーマイオニーを優しく抱きしめ、背を撫でる様にしながら彼女が落ち着くのを待った。
「クルックシャンクスが…スキャバーズを食べてしまったかもしれないの…ロンのシーツに血が付いてて、オレンジ色の毛が床に落ちてた…仲直り出来るかもしれないって思ってたのに…箒の次はこれよ…」
ハーマイオニーは泣きながらも説明をしてくれた。
ロンが箒をハリーの変わりに部屋に持って行けば、其処にはスキャバーズの姿は無く、あったのは血痕とクルックシャンクスの物と思わせる猫の毛。
ロンは”クルックシャンクスがスキャバーズを狙っている事をハーマイオニーは真剣に考え対処する事もなく放置した事が最悪の事態を招いた”と激怒。
ハーマイオニーは”自分がペットショップでクルックシャンクスを見つけた時、クルックシャンクスはロンの頭の上に飛び乗って悪戯をした時から偏見を持っている…もう一度よく探してみて欲しい”と主張。
けれど互いに互いの意見を受け入れる事はなかった。
それを聞いてまるで自分とハリーの言い合いの時の様だとレンは思ってしまった。
自分の家族を殺されて、現状証拠で犯人はアイツだと信じるロンとハリー。
そしてその人の無実を信じているハーマイオニーとレン。
今の悲しい気持ち、泣きたい気持ちが痛いほど判ったレンは、ハーマイオニーの髪を撫で続けて側に居続けた。
「有難う、レン。」
やっと落ち着きを取り戻したハーマイオニーは真っ赤で泣き腫らした瞳で申し訳なさそうにそう言い、レンは優しく微笑み首を横に振った。
「気にしないで。」
「レンも…クルックシャンクスがスキャバーズを食べてしまったと思っているわよね…?」
ハーマイオニーは恐る恐るそう聞けば、レンは首を横に振る。
誰もその現場を見ていないのだ…自分を信じ、声を掛けてくれたハーマイオニーのように自分も彼女を信じよう。
「証拠上ではそう言える物が多いわ。けれど食べてしまった所は誰も見ていないし…クルックシャンクスを信じてるわ。」
レンがそう言えば、またハーマイオニーの瞳から涙が零れる。