「だけどどうして逃げたんだろう…。」
ロンは自分の話に怖がりながらも聞き惚れている2年生がいなくなってからハリーに向かって聞けばハリーも同じ事を疑問に思っている様子だった。
確かに噂通りのシリウスならば、たかが男子の5人、騒がれる前に口を塞ぐ事など容易い。
その内4人は完全に寝ていたのだから、簡単だっただろう。
「君が叫んで皆を起こしたら城から出るのが一苦労だって判ってたんじゃないかな。」
だが、皆の知っているシリウスなら、ハリーを殺すのが目的な筈だ。
ならばこのチャンスに殺してしまい、後はどうにでもなるのではないだろうか…。
2人は考えている様子だったが、答えが出なかったのか、気遣った様子でレンの側まで来れば小さな声でレンに声をかける。
「あのさ…その…報道されている通りのシリウス・ブラックだったらさ…どうしてキミを襲ったんだと思う?」
ロンはロンなりに言葉を選んで聞いたのだろう、レンは敢えてそこに触れないようにして、顔をあげてロンを見れば、ロンは不安そうな表情をしていた。
「私が暖炉の前のソファで転寝していたから…姿を見られたと思ったのかもしれないわね。」
「けど、あの人の腹心でキミを手土産にしたならレンの事も知っていたんじゃないか?」
ロンは声を小さくして周りに聞かれない様に囁き、ハリーもそれに同意だという様に頷いて見せた。
「そうね…あの時聞いた話の通りの死喰い人なら、私を手土産にしたんだもの、知らない方がおかしいわ。」
「死喰い人?」
ハリーは不思議そうに首を傾げ、ロンが「闇の陣営の事だよ。あの人の部下」とハリーに教えていた。
「けれど…シリウスは私を襲ったんじゃないの。私の姿を見て、彼奴は何処だって言ったの。知らないって言ったら慌てて出て行ったわ。あの人はハリーを殺そうと入った訳じゃない。私が聞いた時も、あり得ない!って即答したわ。私はそれを信じられると思ってる。もしハリーを殺すつもりならロンが叫んだ時に寝室ごと吹っ飛ばすかハリーを殺して直ぐに逃げれば良いもの。あんなに人をたくさん殺してアズカバンまで脱獄できた人よ?今ここにいて寝惚けている貴方を殺して逃げるなんて朝飯前の筈だもの。」
敢えてスキャバーズを捜していたという事は伏せて言えば、ハリーとロンは首を傾げて考え耽り、確かにそこが不自然だと2人は言いながらも自分の考えを2人で話し合っているようだった。
それにしてもどうしてスキャバーズなのだろう…ただの鼠を殺す為にアズカバンを脱獄したなどとは思えない。
クルックシャンクスが狙うスキャバーズに何か秘密があるのかもしれない。そして同じ獲物を狙うもの同士、もしかしたら繋がっているのかもしれない…レンはそう思った。