「こんな偉そうな事を言っているけれど…最近ね、そんなに立派な理由じゃないような気がしてきたの。…ただ…愛されたいだけなのかもしれない。今生で母に愛してもらう事は出来ないけれど…あの世で少しでも私を産んで良かったって思ってもらいたいの。愛って…実際どういう感じなのかどんな物なのか…よく判らないけれど…。」
レンがそう遠くの方を見ながら優しく微笑み、最後には苦笑を浮かべ話し続けると、ジョージも同じ方を見つめ、片手にはレンの手を握ったまま話を聞いていたが、次第にゆっくりと口を開く。
「俺は…」
「…ジョージ…?」
ジョージは真剣な眼差しでレンを見つめていたと思えば、何やら呟きそして俯いてしまう。
その表情が何やら苦しそうにも思え、レンはジョージの名を呼べば、ジョージは意を決した様に再度顔をあげて真直ぐにレンを見つめる。
「俺は…」
「留守番をさせちまって悪かったな。」
丁度その時、遠くの方からハグリッドが歩いてきてレン達にそう声をかける。
ハグリッドの足元には、途中で合流したのだろう、ファングが木の枝を咥えながら嬉しそうに尻尾を振りながら歩いてきていた。
「ハグリッド、お帰りなさい。」
ジョージは俯いたまま何やら肩を震わせていたかと思えば、大きく溜息を吐き顔をあげる。
「ハグリッド…」
その瞳は何かを訴えているようだったが、レンにもハグリッドにもそれは判らなかった。
「ハグリッド…何かあったの?瞳が赤いわ。」
今思えば、ハグリッドは何やら正装しており、ファングの他にもバックビークを一緒に連れて歩いていた。
レンがそう聞いてもハグリッドは首を横に振るだけだった。
バックビークを連れて出かけてきたという事は、きっとバックビークの裁判の事だろう。
ハグリッドの表情からして結果が良いものだとは少しも思えない。
裁判の事?と聞いてしまえばハグリッドがハーマイオニーに口止めしていたのに話してしまったという事が知られてしまう。
レンはなんて声をかけて良い判らなかった。
「悪いが、俺はちっと疲れた。また今度遊びに来いや。茶でも御馳走するからな」
ハグリッドは無理矢理に笑ってそう言えば、部屋へと入って行ってしまった。
「行こうか。」
ジョージは溜息交じりにそう声をかけると、レンの手を取り城へと歩いていった。