第29話
次の日、レンはリーマスの所へ向かっていた。
先日、談話室に戻れば元気のないロンとハリーの姿があり、ハリーはレンに「地図はルーピンに没収されたから貸せない」とだけ伝えたのだ。
ハーマイオニーの話によれば、ハグリッドの悪口を言っていたドラコたちに悪戯をし、その拍子に透明マントが少しだけ脱げてしまい、ハリーがその場にいたという事がバレてしまったのだ。
その後急いで帰ったがスネイプに掴まり、そこをリーマスが助けたのだという。
レンはリーマスの部屋をノックすれば、中からいつもの優しい声が聞こえ、レンはホッとしながら扉を開く。
「いらっしゃい。」
そう微笑むリーマスにレンは自然と笑みが零れてしまった。
リーマスはレンを椅子に座るように促して紅茶を淹れてくれる。
「あれから何か危険な事はしていないだろうね?」
「していないわ。」
レンはそう短く答えれば、リーマスは苦笑を浮かべレンの側の椅子へ腰掛ける。
「リーマス。…その、地図を少し貸して欲しい…って我侭は叶えてはくれないわよね?」
リーマスはレンのその言葉に、レンも地図の存在を知っていた事に驚きを隠せない様子だったが、無理な願いだとリーマスは答えた。
「それなら、教えて欲しい事があるの。」
「私で答えられる事ならばかまわないよ。」
「鼠で思いつく事は何かない?」
レンのその言葉にリーマスは不思議そうに首を傾げ、考える仕草をしながらその場に沈黙が流れた。
「…そうだね…鼠といって思い出すものはいくつかあるけれど、それがレンの期待している答えかどうかは正直分からないな。」
「それじゃ…シリウスと鼠といえば?」
そうレンが質問を変えれば、リーマスは少し驚いた表情を浮かべて暫く考えていたかと思うと大きな溜息と共に口を開き始める…が、その表情は何処となく寂しそうな辛そうな表情だった。
「ジェームズ達の事件があった夜、シリウスがある男と大勢のマグルを殺したという話は知っているね?」
「一般的に知られているシリウスが大量殺人鬼と呼ばれるきっかけになった事件よね。」
「あぁ、その通りだ。…その時に殺された男…彼がアニマーガス…動物もどきでね、鼠に変身できていたんだ。」
「ピーター・ペティグリュー?」
レンがそう言うとリーマスは小さく頷いた。