第30話
次の日レンは早速ルシウスに手紙を書き、それを梟に託した。
ヒッポグリフがドラコを傷つけてしまった事は事実だが、処刑だけは考え直してくれないか…と。
その成果は直ぐに現れた。
後日、授業が終了した頃にルシウスがレンを尋ねてきたのだ。
レンは授業が終わり1度談話室に帰ろうと人の波に沿って1人歩いていた時に声をかけられ、思わず驚いてしまう。
「お久し振りで御座います、姫君。」
そう言い手を取り、その手に口付けをすれば、彼はそのままリードするようにレンを人のいない方へと誘い話を続ける。
「お手紙拝見しましたぞ。…ドラコからも色々と聞いてはおりましてな。一度姫君とお話をしたいと思いまして。」
「わざわざ出向いてくださり恐縮です。」
「いえ。私めは姫君の為ならば、何処へでも参上いたしますぞ。」
そうスリザリンらしい冷たい笑みを浮かべて言うルシウスに、レンも同じような笑みを小さく浮かべて直ぐにそれが消えた。
「シリウス・ブラックに襲われたらしいですな。どこかお怪我は?」
「何処も怪我してないわ。それにしても父の近い立場にいたらしいブラックが私の事を知らない筈はないでしょうに…私を襲うなんておかしいわね。」
レンは苦笑交じりにそう言えば、ルシウスは冷たい眼差しで見つめ、その手を愛しそうに撫でる。
「ブラックは恐ろしき男で御座います。どうか今後何があっても彼だけは信じられません様に。」
「父に近い人なのでしょう?どうして信じてはいけないの?」
「…このルシウスの頼みと思ってきいてはいただけませぬか?」
ルシウスはどうしてもシリウスがどんな男か言うつもりはなくそうレンを見つめて言えば、レンは少し溜息混じりに「判ったわ。」と返事を返した。
「聞き入れていただけて幸いで御座います。私達にとって姫君はとても大切な存在…そんな貴女様を傷つけたくないのです。奴は1度ならず2度も貴女を捨てた男…」
「2度捨てた?」
小さく首を傾げれば、失言でしたと苦笑し、その件については何も言おうとしなかった。