「で、あの獣の事ですが…どうして姫君は、あの獣の処刑を待って欲しいとお考えなのです?」
「あの子を私は気に入っているの。最初は恐ろしいと思ったわ、けどあの毛並みと気高さは素敵よ。自分を貶すものは攻撃するけれど、そうでなければとても礼儀を弁えた子なの。」
「ペットにするならば他の動物がおりますでしょう…姫君がお気に召したものを私めがプレゼントさせていただきましょうぞ。」
「私、あの子が良いの。箒で飛ぶのも苦手だし、飛べる子ならその心配もいらないでしょう?私も何かペットが欲しいなって思ってたの」
レンの眼差しにルシウスは黙り何かをじっと考えているようだった。
少しすればルシウスは視線を逸らし遠くの風景を見つめながら考え、振り向いた時はニヤリと独特の笑みを浮かべていた彼に少なからず嫌な予感がした。
「私めも大事な1人息子を傷つけられ、姫君も傷を負いそうになった事は許し難い…ですが、姫君がそうとまで仰るのならば…」
「許してくれるの?」
「しかしながら、私めは姫君がグリフィンドールに決まりそこで生活していくにつれ、彼らに毒されている事を知っております。スリザリンになれるよう私が口添えいたしましょう…あの者達と共に居るのではなく私達の元へ帰って来てくださるのならば、その願い聞き入れましょう。」
レンは直ぐに答える事が出来なかった。
何処の寮にいても、私がもった夢を…目標を…強く思ってさえいれば、いつかは叶える事が出来る。
だが…グリフィンドールに入ってから楽しいと思えたこの日々を失う事が決断を鈍らせてしまう。
私が頷けばバックビークの命は助かるんだ…。
楽しいと言えども、現状では何処に居ようとも変わりはないではないか…。
「姫君の為を思って言っているのですぞ。ドラコならば姫君のお側で役に立ちましょう…だがあのポッターは…信じられないと姫君を愚弄し避けているというではありませんか。聞きましたぞ、姫君がいつも独りでいると…お可哀想に…。」
レンが黙って俯いていればルシウスはレンの肩に手を置き、優しく語り続けている。