どれだけその犬を眺めていたのかは判らない。
なんだかどこか懐かしいような、心が温かくなるような不思議な感覚がしていて安心したのだろう、いつの間にか意識を手放しており、誰かがその頭を優しく撫でた様な気がしハッとすれば、辺りはもう明るくなっており、近くで食事をしていた犬の姿は無い。
辺りを見渡すと食べ物は完食してあったが、その籠で眠ったような形跡も犬の姿もみえなかった。
ただ犬の為に用意したその毛布が自分にかけられており、レンは小さく首を傾げ「リーマス?帰ってるの?」そう声をかけるが返事もなければ気配も無い。
窓の外へ行き辺りを見渡すと、庭にあるシャルのお墓に真新しい一輪の花が備えてあった。
(ドビーが来たのかもしれないが)もしかしたらあの犬は、とても優しい子なのかもしれない。
レンはそんな事を密かに思えば小さく笑みをこぼした。


毎日がとても早く過ぎた。
気が付けば、8/31の夜で、レンはリーマスと共に早めの夕食を済ませると、ゆっくりと流れる時を過ごす。
「最近一緒に居られなくて悪かったね?明日は一緒に行くから。」とリーマスは少し苦笑を浮かべていた。
「忙しいようだったから…別に気にしてないわ」
「実は、今年から私もホグワーツに通う事になってね、その準備に追われていたんだ。今年はいつも以上に一緒に居られるから嬉しいよ」
「とても大きな1年生ね」
レンがそう答えれば、リーマスは飲んでいた紅茶を噴出し咽返った。
「キミって子は…少しは『教師』って枠を考えなかったのかな?」
リーマスはレンの冗談に驚くもクスクスと笑っていた。