「キミ達、水晶玉の中に何でも良いから見えた事ある?」
「ないさ。」
ネビルの質問に、ロンは気のない返事をした。
ちょくちょくと時計を気にしているところを見れば、バックビークの控訴裁判の時間まで後どれくらいかを気にしているのだろう。
バックビークの控訴裁判は2時を予定している。
次第にネビルが呼ばれ(試験内容を教えれば酷い事故に合うと脅されたらしい)2時を過ぎパーバティが教室へと続く階段から降りてくる。
「私いろいろなものが見えたわ。本物の占い師としての素質をすべて備えているんですって。」
嬉しそうにそう伝えると、彼女は螺旋階段を下りて行った。
「レン・クレスメント」
聞きなれたあの霧の彼方の声が頭の上から聞こえてくると、レンは立ち上がった。
「行ってくるわね。」
「見えなかったら不幸をでっち上げればいいんだ。」
ロンはそう言いながらレンを元気付け、レンはにっこりと微笑んだ。
部屋はいつもよりいっそう暑かった。
カーテンは締め切られ、火は燃え盛り、いつものむっとする香りが充満している。
夏の訪れを教えてくれている蒸し暑さもプラスしており、暑さが苦手なレンは早くこの場から立ち去りたいとさえ思ってしまった。
「こんにちは、良い子ね」
レンはトレローニーの側へと歩いていき用意されている椅子に座るように促されてからそこに腰掛けた。
「この玉をじっと見てくださらないこと…ゆっくりでいいのよ…それから、中に何が見えるか、教えてくださいましな…」
レンは一度瞳を閉じて心を落ち着かせてから水晶玉を覗き込んだ。
水晶玉はいつも見えていた白い霧のようなものとは違い、真っ暗の闇がうつった。