「わんちゃん、お願いだから静かにして。」
と、ロンの祈るような声が聞こえて、レンは思わず笑いそうになってしまった。
「あれ、レンだよ。」
ハリーは口元が少し笑いながらそう言えば、ロンもハーマイオニーも驚きを隠せない。
レンはその場に座ってカボチャ畑の方を見る。
自分はバックビークの様子を見てから其方へ行くと出来る限りの合図を送ってみれば、ハリーに伝わったかどうかは判らないが小さく頷いて3人はそのままハグリッドの小屋の方へと歩いていった。
レンは3人の後姿を見送ってから、バックビークの側へと歩いていく。
近付いても良いかと許しを請う為に、一度頭を下げればバックビークも同じようにお辞儀をしてくれた。
カボチャ畑でバックビークは休んでいたが、どこか落ち着かなくそわそわしている様子で、レンはその隣まで来ると小さく丸くなってそこに身を潜めた。
一度死刑執行人達に、バックビークが此処に居ると見せる必要がある。
見せてから変身を解いてバックビークを逃がそう…。
そうすれば、誰もハグリッドを疑いはしないだろう…。
幸いな事に、レンの体はバックビークやカボチャ達が隠してくれている。
レンはじっくりと機会を窺っていた…こんな行き当たりばったりな計画が上手くいくとは思えないが、バックビークを救う為にはこの方法しか思いつかなかったのだ。
バックビークは何かを感じているのか…もしかしたらこれから自分が殺されてしまうかもしれないという事を理解しているのかもしれないと思える程に落ち着かない。
『大丈夫…助けるわ。』
レンはそう心の中で強く思った。
犬の聴力嗅覚というのは、とても便利なものだとレンは思った。
こうして此処で大人しくしている間でも、人の時では聞こえもしない音が聞こえるのだ。
ハグリッドの小屋の方で陶器の割れる音や、ハーマイオニーが叫ぶ声…何かを見つけたらしいが…レンはその言葉よりも、後方に感じる2人の気配の方がよっぽど気になった。
「ハーマイオニー…僕達が中に飛び込んでペティグリューを取っ捕まえたらどうだろう。」
不思議な事に、そう言うハリーの声が気になっていた後方から聞こえるのだ。
ハリーは今ハグリッドの小屋に居る筈だ…どうして反対方向の木々の方からハリーの声がするのだろうか?