「レンだわ!…あの子…ずっとバックビークの側にいて救おうとしてたのよ!それなのに、私達…」
体を起こしてハーマイオニー達の方を見れば、そう言うハーマイオニーの声が聞こえる。
「ワンッ」
ここは頼んだわよ…そう願いを込めてひと吠えすれば、レンはその場から去った。
確かにバックビークは救いたい…だが、それは今そうしようとハリー達がそこにいるのだ。彼らに任せて自分はシリウスの所へ走ろう…ずっと、どんな危険を冒してもスキャバーズを探していたのだ…。
一番近い道を通ろうと思ったが、丁度遠くの方からハグリッドの小屋を目指して人影が見え、レンは仕方なく森の中を全速力で走り、暴れ柳の枝をかわしながら通路へと身を潜り込ませ、そして屋敷の中へと勢い良く飛び出していけば、そのまま部屋を目指す。
部屋に転がり込む様に飛び込んできた犬の姿にシリウスは驚きを隠せないようだった。
「シリ、ウス…いたわ。鼠…」
人の形に戻り、息を乱しながらそう言えば、シリウスの顔が直ぐに変わった。
「何処だ!?何処に居た!?」
「今、ハグリッドの小屋…ロンが捕まえて、多分もう直ぐ城に戻るかもしれない。」
レンのその言葉に、シリウスは「此処で待っていなさい。良いね?」と強く言い聞かせてそのまま其処を飛び出して行ってしまった。
レンはそのままその場でシリウスの帰りをじっと待っていた。
シリウスは誰かに見つかっていないだろうか…バックビークは助かっただろうか…
色々な考えが頭の中を駆け巡り、緊張と不安で心臓が口から出てしまいそうだったし、時間がとても長く感じた。
「放せ!放せってば!!」
聞き覚えのあるその声にレンはハッをすれば、間も無く大きな黒い犬とロンが姿を現す。
犬はロンの腕に噛み付きここまで引き摺ってきた様子だ。
「ロン!」
「レン?どうしてキミが此処に…」
「ワンちゃん、お願い…この人は私の友達なの。」
レンが側に駆け寄り、そう声をかければ犬はそっとロンを放して反対側の方へと歩いていった。