「そう。最後まで私は信じるに値しない、という訳ね…残念だわ。」
レンは短くそう答えれば杖を振り上げ、ロンを後ろの距離がある場所に移動させ、ハーマイオニーもその近くに放るようにした。
床に落ちている杖を拾い上げようとした時、ハリーはレンに自分の杖を向けて「触るな!」と怒鳴りつけたがレンは気にもしなかった。
「私はハリーを攻撃する術を持たないわ。死の呪いでも何でもやりたければご自由に。遠慮しなくて良いわよ。貴方に殺されるなら本望だから。」
そうさらりと言い退け、ロンとハーマイオニーの杖を拾い上げれば、持ち主へと杖を放り投げる。ロンもハーマイオニーも驚いた表情をしていた。
「ハーマイオニー、もし知ってるならエピスキーを唱えてあげると良いわ。治癒魔法よ。」
そう助言をするも、ハーマイオニーはまだその呪文を知らないのだろう、ロンも「騙されるな。唱えちゃダメだ。」とそれを拒んだ。
「シリウス、大丈夫?」
レンはそれを無視し壁の所で伸びているシリウスの側に膝を付いて声をかければ、シリウスは苦笑を浮かべるだけだった。
ハリーはそんなシリウスに真直ぐ杖先を向けている。
「ハリー、私を殺すのか?」
ハリーの杖先が自分の心臓を狙っているのが判ったのだろう、シリウスはそう呟けば、ハリーはそのまま一歩一歩シリウスに近付き、レンは咄嗟にハリーとシリウスの間に入る。
ハリーにシリウスを殺させる訳にはいかない。
「退いてくれ。でないと僕はレンも攻撃する。」
「好きになさいな。さっきも言った様にハリーに殺されるなら本望だし恨んだりもしない。どうせ平和な世界に生きていたらいけない穢れた存在よ。」
レンは杖をしまい、どうぞ?と切なげに笑むと、ハリーはどこか戸惑っている様で身動きひとつしなかった。
「レン、そんな風に考えてはいけない…退きなさい。」
後ろからシリウスの声が聞こえるがレンは首を横に振った。
「嫌よ。貴方は無実の罪で12年も苦しみ続けてた。それに此処で死なせてしまったらそれこそ私もハリーも後悔する。…ハリー、貴方がそうしたいならして良いわ。…けど、シリウスの話はちゃんと聞いてあげて欲しいの。どうしてあの事件が起こったのか…本当の事を…シリウスはハリーのご両親を裏切ってはいない。話を聞いてから、どんな判断を下そうとそれはハリーに任せるわ。…ホグワーツに来る前も言ったわよね?他人の言葉でだけで判断しないで、貴方が見て感じたものを信じて欲しいって。貴方が今信じているものは何?それこそ周りが好き勝手に言っている意見でしょう?」