「私は…ジェームズ達が死んでしまった事…その原因が私にもある事は否定はしない。だが…ハリーは全てを知らない。」
「全て?お前は僕の両親をヴォルデモートに売った。それだけ知れば沢山だ!」
「聞いてくれ。聞かないと君は後悔をする…キミには判っていないんだ。」
「お前が思っているより僕は沢山知ってるんだ。お前は聞いた事がないだろう、え?僕の母さんが…ヴォルデモートが僕を殺すのを止めようとして…お前がやったんだ…お前が…。」
ハリーの声が震えてシリウスも何も言えなくなってしまったようだった。
「レンはヴォルデモートと一緒にあの現場にいた…ダンブルドアがそう教えてくれたよ。…あの夜の事、今でも夢に見て魘されている事があるって…それなのにキミはソイツを庇う…そいつが裏切ったのに!」
その時、シリウスはレンを退かそうと背後から手を伸ばし、ハリーはそれがレンの杖をシリウスが奪おうと思ったのだろう、武装解除の呪文を放つ。
レンは咄嗟にシリウスを庇うと、その身は呪文によって大きな音を立てて後方の壁に叩きつけられ、そのまま崩れ落ちるように床に横たわった。
頭や背中を強く打ち、頭からは血が流れ、口の中に血の味が広がる…きっと口の中を切ったのだろう。
立ち上がろうとするも、酷い目眩と吐き気に、身動きひとつとれない姿に、ロンもハーマイオニーも息を呑んだ。
ハリーはそのまま真直ぐに進みシリウスに杖を構えていれば、今度はクルックシャンクスがシリウスを庇うようにシリウスの心臓の上に陣取った。
「退け。」
クルックシャンクスは爪を立てて退く意思がない事を示せば、そのまま睨み合いで時が流れていく。
すると床に木霊するくぐもった足音が聞こえてくる。
誰かが階下で動いているのだろう。
「此処よ!私達上にいるわ…シリウス・ブラックよ!早く!!」
ハーマイオニーが急に叫ぶと、シリウスは驚いて身動きし、クルックシャンクスは振り落とされそうになった。
ハリーは発作的に杖を握り締めたが攻撃を仕掛ける事は出来なかった様だ。
バタバタと階段を上がってくる足音がし、次の瞬間、赤い火花が飛び散り、ドアが勢いよく開いた。
レンは辺りの状態は耳に入ってきて理解する事は出来るが、それに身を動かす事が出来ず、誰が入ってきたのかは判らなかった。