一斉にその方向を全員が見るが、リーマスはその場に何もないのを確認すれば足早にドアの方に進み階段の踊り場の方も確認すれば扉を閉めた。
だが、レンには見えていた。ある人物が透明マントに包まりこの部屋に入ったのを…咄嗟に「ス」と言いかければ、その人物は魔法でレンから言葉を奪い、何もされぬよう背後から両手を強く掴み動きを止めている。
「誰もいない…ここは呪われてるんだ!」
「そうではない…。」
リーマスも他の人達もそれに気付かずに、何事もなかったかのように話を続けた。
この叫びの屋敷は元々、学生だったリーマスの為に出来た物だった。
脱狼薬というただの無害な狼でいられる薬は最近発明された物で、昔はそんな物はなかった…。
だが誰にでも学ぶ権利はあると、人狼でも学校に通う事を許したダンブルドアは、変身する時は此処で時を過ごす様にさせ、噛む対象がいなくなった狼のリーマスは1人っきりでこの屋敷に閉じこもり、自分を噛み引っかき、荒々しい叫びを上げていた日々だ。
ダンブルドアは、村人達がその悲鳴は呪われているからという噂を煽り、そしてこの屋敷に誰も出入りが出来ぬ様に、暴れ柳をこの屋敷と繋がるトンネルの出入り口に植えたらしい。
「しかし変身する事だけを除けは、人生であんなに幸せだった時期はない。生まれて初めて友人が出来た…とても素晴らしい友が。シリウス・ブラック、ピーター・ペティグリュー…そしてハリーのお父さんのジェームズ・ポッター、レンのお母さんのアクア・クレスメント…。友人達は私が月に一度姿を消す事に直ぐに気付いたよ。だが私は色々な言い訳を考えた…私の正体を知られたら途端に私を見捨てるのではないかと怖かったんだ…しかし4人はハーマイオニーと同じ様に本当の事を悟ってしまった。」
リーマスは懐かしそうに、けれどどこか切なそうに言葉を続けている。
「それでも4人は私を見捨てなかった。それどころか私の為にある事をしてくれたお蔭で、変身は辛くないものになったばかりでなく、生涯で最高の時になった。皆、さっきレンが話してくれた様に、私の為にアニメーガスになってくれたんだ。」
ハリーはその事に驚き「僕の父さんも?レンの言葉は本当だったの?牡鹿?」と聞けば、リーマスは優しく頷いて見せた。
どうやればなれるのか、3年の時間を費やした。
シリウス、ジェームズは学校一の賢い学生だったのが幸いしたのだという。
だが、ピーターとアクアは少し苦戦したようだった…だが、ジェームズとシリウスがそれを手伝い4人とも5年生になってやり遂げたのだという。