「あんな幼子がどうやって来たのかは私には判らないが、弱った私を見ては誰かの真似だったのだろう、元気の出るおまじないだと私に噛み噛みの呪文だったが血の力を使った魔法をかけ、それが見事に作用し続けてくれた。耐え難くなってきた時は心を温かいもので満たしてくれ、独房で犬に変身する力を分け与えてくれていたんだ。奴らは目が見えず、私の感情が人のものでは無くなり狂ったと思ったのだろう。他の囚人と同じように。…だが、護りがあっても私はとても弱っていて、杖無しには連中を追い払う事は出来なかった。そんな時ピーターを見つけた…いつでもハリーを殺す事が出来、闇の陣営が力を取り戻したと知る事が出来る最高の場所に居ると…それが再び私に力を取り戻させ、痩せ細った私は、鉄格子の隙間をすり抜ける事が出来た。」
シリウスはそこまで言えば、真直ぐにハリーを見つめ、ハリーもその視線を逸らす事はなかった。
「それから私は犬の姿で泳ぎ、島から戻ってきた。…北へと旅をし、ホグワーツの校庭に犬の姿で入り込んだ…その間に、私はレンに何度か見つかってしまったが、彼女は誰にもその事を言わないと誓ってくれ、そして私は彼女を巻き込まない様にと心に誓った…最後の最後は母親譲りの無鉄砲さと頑固さが巻き込んでしまう結果になってしまったが…。」
レンをチラリと見れば少しだけ微笑んで、シリウスはまたハリーに視線を戻す。
「一度クィディッチの試合を見に行った…ハリー、キミはお父さんに負けないくらい飛ぶのが上手い…。信じてくれないか…。頼む。…ジェームズもリリーもアクアも私の所為で死んだ…それは紛れもない事実だ…恨みたい気持ちも良く判る…だが、私は決してジェームズやリリーを裏切った事はない。裏切るくらいなら私が死ぬ方がマシだ…それだけは信じて欲しい。」
シリウスはそこまで言えば声を詰まらせたが、ハリーは何も言う事が出来ずに、ただ信じると言う思いを伝えるかのように頷いてくれた。
レンはそれを見れば崩れるようにその場に座り込み、大粒の涙を零し両手で顔を覆った。
「良かった…本当に…良かった。」
その様子をハリーとロン、ハーマイオニーはとても複雑そうに見つめれば、ピーターは這いづくばり、祈るように手を合わせシリウスに近付いていけばシリウスはそれを蹴飛ばそうとする。
「私のローブは十分に汚れてしまった。この上お前の汚い手で汚されたくはなない。」