「コイツはアズカバン送りになるべきだ。あそこに相応しい者がいるとすれば、コイツしかいない。」
「レン…キミはどう思うんだ?」
シリウスの問いにハリーが答えれば、リーマスはレンに問う。
皆の視線が自分に集まっているような気がした。
「私は…ピーター、彼は情けをかけたら何でもするって言ってくれたわ。それなら、一緒に来てもらってシリウスの無実と自分の罪を告白してもらいましょう?シリウスを犯人だと疑っている人達に証拠が無いまま信じさせるのはとても難しい事だと思うの。2人がアズカバン送りになるよりよっぽど良いわ。母さんは、シリウスをあそこから自由にしてって言ってた。これなら母さんの願いも叶えられるもの。」
「判った。いいだろう…ハリー退いてくれないか?」
ハリーはその言葉に躊躇したが、「縛り付けるだけだ」とリーマスが誓えば、横に退いてくれる。
それを確認してからリーマスは杖を振り、杖先から細い紐が噴出し、ピーターを縛り上げれば猿轡を噛まされて床の上でもがいている。
「だが、ピーターが変身したら、やはり殺す。いいね、ハリー?」
ハリーはピーターを見下ろし、彼に見えるように頷けば、シリウスは納得したようだった。
「レン、キミもそれで構わないかい?」
リーマスの問いにレンも同じく頷いてみせる。
「その時は彼の亡骸を証拠にすれば良い。本人の発言よりは信憑性に欠けるかもしれないけれど、何も無いよりはましだわ」
「判った。それとレン、キミはロンの脚をもう少し癒してあげる事は出来ないかい?私はマダム・ポンフリーほど上手く骨折を治す事が出来ないんだ。」
レンは狼狽え、ロンの方を恐る恐る見つめれば、ロンも気不味そうにしていた。
「近寄っても…良い?」
レンがロンに確認する様に言えば彼は小さく頷くと、シリウスはレンに杖を返そうとしたが、レンは小さく首を横に振った。
「血の力を使った癒しの力なら杖がなくても使えるから。ピーターが何をするか判らないもの。持ってて。」
レンはロンの足元に膝を付き手を翳す。
「クレスメントの力よ…我に従え。」
レンは深呼吸をし瞳を閉じてそう唱えれば、手から淡い光が溢れロンの脚を包み込む。
「レン…えっと…。」
ロンが何か言いたげに口を開くも、放たれていた優しく淡い光がゆっくりと消えて行くと、続く言葉を飲み込み「有難う」とだけ言った。