トンネルを通るのが皆一番苦労した様子だ。
リーマスとピーター、ロンの組は横向きになって歩かざるを得なかったし、その間もリーマスは杖をピーターに向けたままだ。
ロンの後ろハーマイオニー、そしてその後ろをレンが歩き、そしてシリウス、ハリーの順だ。
シリウスはスネイプを手荒に扱うつもりらしく、トンネルの天井にスネイプの頭がゴツゴツと当たってばかりいた。
「これがどういう事か判るかい?」
トンネルをノロノロと進みながらシリウスがハリーに聞いている。
「貴方が自由の身になる。」
「そうだ…それだけではない。誰かに聞いたかもしれないが…私はキミの名付け親でもあるんだ。」
「えぇ、知ってます。」
「つまりは…キミの両親が私をキミの後見人に決めたんだ…。もし自分達の身に何があればと。」
シリウスの声が緊張している様だった。
レンはチラリと後方を見てその様子を窺えば、ハリーの表情は続きを言って欲しくて仕方ないといった表情で、レンはどこか嬉しく思った。
「勿論、キミがおじさんやおばさんと一緒に暮らしたいと言うのなら、その気持ちは良く判るつもりだ。しかし…まぁ…考えてくれないか?私の汚名が晴れたら…もしキミが…別の家族が欲しいと思うのならば…」
「え?貴方と暮らすの?」
その声と同時にゴツッと痛そうな鈍い音が聞こえ、レンは思わず吹き出してしまう。
ハリーが天井から突き出している岩に頭をぶつけたのだろう。
「私とだけではない。…私には妻の様な人がいた。指輪も交わし気持ち的にはお互いにもう夫婦だったんだが、色々と訳があって結婚はしていなかった。それらが落ち着き始めて、結婚を決めていた前日にあの事件が起こってしまって…。」
「レンのお母さんの事ですか?」
ハリーはそう言えば、シリウスは「そうだ。」と言い、言葉を続ける。
「私とキミとレンと…レンの面倒を見てくれていたリーマスと、新しい家族になりたいと思っている。無論、キミはそんな事は望まないだろうと思ったし、レンもリーマスもどう考えているかは判らない。…ただ…もしかしたら…と思ってね。」
「とんでもない!勿論ダーズリーの家から出たいです!住む家はありますか?僕いつ引っ越せますか?」
シリウスはその返事を心のどこかでは期待していたのかもしれないが、驚いたように振り返ってハリーを見つめるが、その間スネイプの頭はゴリゴリと天井を擦っている。