第38話
皆無言で歩き続け、窓の灯が徐々に大きくなった頃…レンはその異変に気付き脚を止めた。
振り向き辺りを見渡せば、先程より光が差して明るい…
そう…今まで月を覆っていた雲が途切れ、月の光がレン達を照らし出しているのだ。
咄嗟にリーマスを見れば、リーマスは硬直し手足が震えだしている。
「どうしましょう…あの薬を今夜は飲んでいないわ!」
「逃げろ。逃げるんだ、早く!」
シリウスの言葉を誰も聞きはしなかった。
そう、ロンがピーターとリーマスに繋がれたままだ。
ハリーは前に飛び出したが、シリウスが両腕をハリーの胸に回してグイッと引き戻す。
「私に任せて、逃げるんだ!」
その声と共に恐ろしい唸り声がした。
リーマスの頭が長く伸び体も大きくなる。
あらゆる場所から毛が生えだし、手は丸まって鉤爪が生える。
「私も手伝うわ。リーマスをこのままにしておけない。」
レンはそういえば、犬に姿を変え、リーマスの側で身構える。
『手錠が外れたら同時に噛み付き引き離す。いいな?無理だけはするな。』
そうシリウスの声がする。そうか、動物同士話が出来るのかもしれない…。
レンは同意を示すと、リーマスは完全な狼人間へと変身し終え後ろ足で立ち上がり、牙をバキバキと打ち鳴らす。
そして自分を縛っていた手錠をねじ切った時、2匹の犬が狼人間の首に食らいついて後ろに引き戻し、ロンやピーターから遠ざけた。
黒い犬の合図でもう1匹の犬が飛び退くと2匹は牙と牙でがっちりと噛み合い、鉤爪が黒い犬を引き裂こうとする。
そうすれば、もう1匹はその鉤爪に噛み付きそれを阻止した瞬間、バンッという大きな音とハーマイオニーの悲鳴でレンはそちらに気を取られてしまい視線をそちらに向ければ、ロンが倒れたまま動かず、次にその音がすれば、クルックシャンクスが宙を飛び地面に落ちてクシャっとなり動かない。
その音に気付き目を覚ましたスネイプがハリーとハーマイオニーを庇う様に盾になり杖を向けていた。
だが、こちらも気を抜いてはいけない時だったのだ…レンが気を抜いたのが判ったのだろう、もう一方の鉤爪がレンを裂き、レンはそのまま地面に叩きつけられる。
腹部に熱い痛みが走ったが、よろけながら立ち上がれば、黒い犬ははっきりと「来るな」とレンに叫ぶように言っていた。