「動くな!」
ハリーのその声にそちらを見れば、ピーターは得意げな表情をし段々小さくなっていき、レンは痛む体に鞭を打ち、急いでピーターに駆け寄り思いっきりその場を噛んだ。
ガチッと音がし、僅かに血の味がしたが、ピーターは傷を負いながらも逃げ仰せたようだ。
逃がしてしまった…その思いがレンをその場から動けなくしその場に倒れるように寝転がった。
「シリウス!アイツが逃げた。ペティグリューが変身した!」
狼人間が逃げ出したのをハリーは確認すれば、大声を上げてシリウスに伝える。
シリウスはレンに、ハリー達を頼む。と言うと校庭を走り去った。
レンはそのまま立ち上がり、ロンの側にゆっくりと歩いていき、息をしているが目は半開きのまま意識のないロンの頬を舐めたが目を覚ます気配は無い。
失神呪文か何かをかけられたのだろう。
ハーマイオニーとハリーもロンの側にやってくれば、ロンの側にいる犬のレンに視線を向けた。
「大丈夫…?酷い傷よ。」
そう声をかけられてレンは変身をとくと「大丈夫。」と小さく答えた。
まだ、ハーマイオニー達が自分の事を許してくれているかなんてわからない。頼るわけにはいかない…そう思う自分がいた。
「ポッター。お前はウィーズリーを担げ。皆で一刻も早く医務室に向かわねばならん。」
そういうスネイプにレンは気遣わしげに「先生のお怪我は…」と聞くも「心配には及ばん。」と答えただけで、その表情はとても険しいものだった。
だが、辺りの空気が冷え切ってくると、レンの血の気も引いてきてしまう。
その異変に嫌な予感しかしなかったレンは、再度犬に変身するとそのまま走り去ってしまった。
「止まれ!行ってはならん!」そういうスネイプの声が聞こえた様な気がしたがレンは無視をした。
暫く走れば「キャンッキャンッ」と苦痛を訴えるような犬の鳴き声が聞こえ無事でいてくれと強く願いながら走り続け、湖の畔まで来れば、シリウスは人の姿に戻り蹲って両手で頭を抱えており、レンは犬の姿のままシリウスを襲う吸魂鬼に体当たりをし近付いてくるものを幾度となく追い払う。
だが、四方八方の闇の中から次々と吸魂鬼が姿を現す。
きっと百体以上いるのではないかとレンは思った…だが、確実にパトローナスを出せないレンはこうするしかない。