するとその時、暖かい光が辺り一帯を包んだかと思えば、辺りの吸魂鬼は居なくなったようだった。
誰かが守護霊の魔法で追い払ってくれたんだ…。
それに感謝をするも、そこから動く気力も体力も何も残って居なかった。
誰かの足音がすれば、誰かが何かを持ち上げてはドサッという音が耳に聞こえてくる。
一体なんだろう…そう思ったが、瞳を開く元気すらなかった。
その者がシリウスを持ち上げたのだろう、レンは片手を上げて自分の身も宙を浮くのがわかる。
「それ程までにこの男を護りたいのか…。」
スネイプの声だった。
何か硬い物が手に触れ、その手を離させようとしているのかその手はピクリとも動かない。
それに溜息を吐けば、スネイプはレンの腹部に包帯を巻きシリウスの上に寝かせると、レンの身は宙に浮いているような感覚がしていた。
シリウスの温もりを感じたまま、一緒に死ねるなら、それも悪くない…なんて思う自分に自嘲的に笑んでしまえばレンはそのまま完全に意識を手放した。
「ダンブルドア、これが全てだ。ホグワーツにいた頃、貴方を騙しては変身していた事が現状に繋がった…そう言われれば何も言い訳はできない、自業自得だと言われればそれまでだ、都合の良い事だという事も承知している。…だが頼む。信じてくれ…。私はジェームズやリリーを裏切るくらいなら死んだ方がマシだ。アクアもその様な腑抜けに成り下がったのなら決して私を許さなかった筈だ。私にはそんなアクアを裏切れはしない。」
どこか遠くからシリウスの切実そうな声が聞こえる…。
「キミのアクアへの想いが本物だと証明出来るかね?」
ダンブルドアのその声に、少しすると何やら光の球が飛び回る様な、光の移動が瞼の外から感じられ、眩しいと言いたげにレンの眉間に少しだけ皺が寄る。
「…よかろう。当時のまま何も変わっておらぬのじゃな。」
その優しいその声色に、だんだんと意識が戻りつつあったレンは小さく声を漏らして身を動かすと「目が覚めたかね?」と聞き覚えのある声に、ゆっくりと瞳を開けば、そこにいるのはシリウスからレンの杖を受け取っていたダンブルドアの姿があった。
そして自分は何処だか判らない部屋で、シリウスの膝枕で眠っていたようだ。