「開いているよ。」
扉をノックしようとすれば、リーマスの声が扉の向こう側から聞こえ、レンは中に入ると、前に入った時とは随分と違い、物が片付いている。
「辞任したんだ。誰かがうっかり私の事を話してしまってね。」
リーマスは自嘲的に笑み、レンの心は締め付けられる。
「リーマス」
「ん?」
「帰って来てくれるでしょう?」
「残念だけど、もうホグワーツの教師にはきっとなれないよ。私のような者が教師など許されるはずがない。」
「ホグワーツにリーマスが居ないのも悲しいわ…リーマスの授業、本当に楽しかったし大好きなの。でもリーマスが自分で決めた事なら仕方ないってまだ思える…けど、あの家にリーマスが居ないのはどうしても嫌、何を言われても納得できない!」
レンのその言葉にリーマスは一瞬動きを止め、そしてレンの側にくれば優しく頭を撫でてくれる。
「キミはもう、私が居なくても大丈夫だ。」
「そんな事言わないで…私があの人の血を引いているから?それともマネ妖怪も倒せないから?一緒に居るのが嫌になっちゃったの…?」
レンがそう聞けば「違うよ。」と優しい声が聞こえ、レンは思わず涙声になってしまう。
「もし…リーマスが狼になる所を私が見たからって理由なら、私は全然気にしてないわ。全く怖くない。これから何度だって狼なリーマスの側にいるわ。」
その言葉に、リーマスはレンの肩に手を置いて目線を合わせれば、少し切なそうに微笑んだ。
「私が変身してキミに傷を負わせてしまった…。」
「私の怪我なんて珍しくないわ。知っているでしょう?私だってリーマスの事を噛んでしまったから、おあいこよ。ちょっとした喧嘩だって思えば良いの。だってそんなようなものだもの。あの時だって私、リーマスの事怖いとか思わなかった!私はリーマスが居なきゃ駄目なの、嫌なの…もう大切な家族なのよ。あんな広い所に独りぼっちは嫌。我侭言っているって、困らせているって判っているわ…でも、これだけは私も引きたくない!リーマスともう逢えないなんて我慢できないの。」
レンの子供のような我侭にリーマスからは思わず笑みがこぼれる。
「私…今学年中、スネイプに脱狼薬の作り方を教わったわ。スネイプが私に合格点をくれたし、リーマスは何度か私が調合した薬を飲んでいるの。これからだって私はリーマスに薬を作っていくしもっと飲み易い薬をいつか作ってみせるわ。私のこと嫌いじゃないならお願いよ…リーマスに大切な人が出来るまででも良いの…。」
「セブルスがキミに?」
レンは小さく頷けば、リーマスは今まで知らされていなかった様でその事実には驚いて見せたが、直ぐに困った様な表情をし、レンはそれにどうしても駄目なのかと俯き、涙がぽろぽろと溢れ出してきてしまった。