最終話
「こいつらは何をしてるんだ?」
「重役会議かしら。母のお墓の周りに住み着いてからずっと守ってくれてるの。」
杖を触ったりシリウスを見たり、身振り手振り何やら可愛らしい会議にレンは小さく笑ってしまえば、ボウトラックルが一斉にレンを睨み、思わず「ごめんなさい。」と謝ればリーマスもシリウスも声を上げて笑ってしまった。
暫くすると3体のボウトラックルが供えられていた杖の両端と真ん中をそれぞれに持ち頭上まで持ち上げては、それをシリウスに差し出してくれ、シリウスは小さく首を傾げていた。
「シリウス、彼らも杖も、貴方がこれを使って良いって言ってるわ。私もそう思ってるの。だって母を想い続けてくれてるんだもの…母も喜んでくれると思うし、彼らが許したんだもの、森の皆もそうするのが1番良いって言ってくれるわ。」
シリウスは流石に予想外だったのだろう、驚いたように瞳を丸くするもそれを受け取り、受け取った杖を暫く見つけ、目を真っ赤にして空をジッと見上げた。
そして暫くすれば「有難う」と言い杖をローブの中にしまった。
ピックル達はどこかへと消えれば、しばらくしてその杖のあった場所に、花咲く枝を持ってきてはそこに供えていた。
暫くその母の墓の前で無言の時を過ごせばシリウスはゆっくりと口を開く。
「ピーターの事が片付けばキミにちゃんと話をする、私はそう約束をしたね。」
「…あー、そういえば…鼠を探す事に必死で忘れてたわ。」
キミって子は…と、シリウスもリーマスも小さく笑ってみせる。
「でも…いいわ。シリウスにとって良い記憶じゃないのでしょう?そんな懺悔なんて聞かなくたって、当時の私はショックに思っていないんだもの。」
その言葉に、シリウスだけではなくリーマスも何処か安心した様な瞳をしていた。
「その代わり、シリウスが落ち着ける様になったら、シリウスが過ごした母との記憶を話して聞かせてくれる?それと私が覚えていない私との事も。私…シリウスに私との記憶が償いと後悔の記憶だっていうのが嫌だわ。そんな事は忘れて、これからは良い記憶に変えていってもらいたい、そう思うの。」
「あぁ、有難う。…キミは本当に優しい子に育った。アクアにも見習って欲しい程に。」
シリウスはそういうと一度レンを強く抱きしめ、その後額をこつんと合わせる。