「赤ちゃんの頃のハリーにあった事あるの?」
「勿論だとも。あの事件が起こる間近まで私やアクアはジェームズ達の所に行く時は必ずレンを連れて行った。2人はとても仲が良くて連れて行くと側を離れなかった。帰る頃になるとハリーが泣いたくらいだ。」
それに驚き目を丸くすると、本当だよと言いたげにリーマスが優しい目をしながら大きく頷いている。
それにレンは止まっていた涙がまた溢れ出し、シリウスはそんなレンを横抱きしては家へと戻って行く。
「私にも覚えてないだけでそんな幸せな時間があったのね。」
「勿論だ。1年半くらいだったからな…覚えていないのも無理はないさ。」
「でも、シリウスの香りは覚えていたみたい。犬の時も人の時も懐かしいって感じたわ。…それにジェームズさん達の事も。夢を見た時、時々大好きなあの人達を死なせたくないって気持ちに襲われるの。…本当に当時大好きだったのね。」
シリウスはそれに嬉しそうに笑みを浮かべていた。

夕食を共に済ませてから、各々好きな行動をとっていた。
レンはいつもの様にロッキングチェアに座って窓から庭を眺め、リーマスはソファに座って本を読んでいたが、シリウスが向かい側に座れば、それを止めて何か話ている様だ。
「レン、アクアの事で何か知っている事はないか?」
「私を恨んでいた事、産みたくて産んだんじゃないって事…シリウスが捕まって、その無実を訴えたくてずっと魔法省に行ってた事…そしたら誰かは知らないけど、命を懸けられるのならば信じても良いみたいな事を言われて、次の日その人の前で死んだって。」
「レンはどうやってそれを知った?キミの伯父さんが教えてくれたのか?」
シリウスは伯父の事も知っているんだろう、眉間に皺を寄せながら不快そうな顔をしてそう言った。
「伯父とはそんなに良い思い出がないわね…いつの日だったか覚えていないけれど、それを見て自分がどんな存在か知っておけって…母の日記を貰ったの。」
レンは杖を一振りすれば、何処からか1冊の本が飛んでレンの手に収まり、レンはそれをゆっくり撫でてからシリウスにそれを渡す。
「…伯父の形見にもなってしまったわね。」
レンはそう言ったのを聞けば、シリウスはその日記を開き、中を確かめ始めた。
リーマスも気になるのだろう、シリウスの隣に腰掛け直せば、共にその日記を見始める。
その日記が始まった日付はある日の夏…今頃だ。