自分の考えがあったからといえど、ヴォルデモートの策に引っ掛かり、犯されてしまい、シリウスを裏切ってしまった罪悪感。
そしてシリウスはそれを受け止め、自分を愛してくれた事にも罪悪感を感じどうしたらいいのか判らないといった気持ち。
あの後に発覚した妊娠…。
犯される前にお腹には、もうひとつの命が宿っているという確信はあったが、自分の確信通りではなく、ヴォルデモートの子だったらどうしようという不安感…。
今までは自分の考えや確信を信じてこれたが、今は信じられない。
…そんな言葉が毎日書かれており、誰に読まれても良い様に、恋人や親友などの言葉はあっても、名前は出てきていない。
だが読む人が読めば、それが誰の事だか直ぐに判る様だった。
どのページもシリウス、そして迷惑をかけているリーマス、ジェームズ、リリー、ピーターに対しての償いの言葉が並べられ、レンが産まれてからは、時間が経つにつれ減っていってはいるものの、シリウスへの謝罪とシリウスへの愛が嘘を吐いてでもこの重みから解放してあげる事が出来ないでいる事、その所為でシリウスを苦しめている事、そして子供を産んだ事への後悔の気持ちが綴られている。
これは日々の日記、というよりも吐き出せない気持ちを辛くてどうしようもない時に書き綴ったノートの様にシリウスには思えた様だった。
シリウスにとっても、そんな自分への愛と辛い思いが綴られた日記は堪えるのだろう、少し飛ばしながらようやくアクアが最後に記しただろうと思われるページで動きを止める。
『昨日いつもの様に魔法省に行ったわ。相変わらずクラウチも魔法省大臣もまともに耳を傾けてはくれない。
シリウスは無実なのに…一度だけでも良い、ちゃんと調べてくれたら…裁判をしてシリウスの言葉を聞いてくれたら…。
そんな言葉すらあの人達には届かなかった。
けれど、普段なら憎たらしい彼奴が、有罪を信じるものを動かす為にはクレスメントの高貴な命をうまく使う他ないと助言をしてきたの。
いつも通り彼奴らしいあの笑みを浮かべながら「貴女様にその様な事が出来るとは思えませんが。」とご丁寧に挑発付きで。
でもそれが出来るのなら、協力しても良い…そう言ってくれた。
…きっと適当に言葉を並べただけかもしれない。
けれど、私は引く訳にはいかない。
引いてしまったら、私が心の底からシリウスの無実を信じている…いいえ、確信しているこの気持ちを否定する事になる。
子供の事に関しての確信が外れてしまった今、この確信だけでも信じてシリウスを助けたい。』