「だけど、誰か…座席から落ちた?」
「ううん。ジニーがめちゃくちゃ震えてたけど…」
ハリーは混乱したような表情だった。震えているその手をレンは優しく握ると、ハリーは少しだけレンに微笑んでくれた。
「吸魂鬼は…」
レンがやっと口を開くと一斉に視線が集まる。
「人の楽しい気持ちを吸い取り、辛い記憶しか残さないの…辺りがとても冷え込むのは吸魂鬼が現れた証…ハリーとジニーがとても強く影響を受けたのは…吸魂鬼に楽しい気持ちを吸い取られたからだわ…多分だけど…」
レンは小さくそう呟くとロンが身震いしていた。
「おやおや、チョコレートに毒なんて入れてないよ…」
リーマスは戻ってきて、入るなりちょっと立ち止まり、皆を見渡してふっと笑いながらそう言った。
ハリーはもらった事を忘れていたかのようにチョコレートを齧り、他の皆もそれを食べ始めた。
「あと10分でホグワーツにつく。ハリー、大丈夫かい?」
「はい。」
リーマスはハリーにそう声を掛けたが、ハリーはバツが悪かったのか呟くようにそう答えた。
「レン、大分落ち着いたかな…?」
「えぇ…さっきはごめんなさい…。」
レンがそう言うと、リーマスはニッコリと微笑み、優しく頭を撫でてくれた。
リーマスに頭を撫でてもらうとレンはなんだかホッと落ち着くような気持ちになった。チョコレートよりもこっちの方が何倍も良い。
汽車が駅に到着すると、皆一斉に汽車から降り始めていた。
ハリー達に続き、レンもリーマスと共に汽車を降りるが、レンの手はぎゅっとリーマスのマントを握り閉めているのに、リーマスは笑った。
「大丈夫。安心しても良いんだよ?」
レンはそれに小さく頷いただけだった。