ハグリッドの落ち込みようを見て、独りにしない方が良いと思ったのだ。
ハグリッドの方膝の上に座り、ハグリッドを背凭れにしながら、片腕をポンポンと優しく撫でながら、ハグリッドが落ち着くのを待ち続ける。
こうして誰かの温もりが側にある、それだけでもハグリッドの心を少しだけでもいい癒やせはしないか、と思っての行動だった。
「ハグリッド、飲み過ぎよ?そろそろおしまいにしないと。二日酔い、っていうのになったら、大変なんでしょう?」
バケツぐらいありそうな錫製のジョッキで何杯もお酒を飲んでいて、ハグリッドの顔は真っ赤になっていたが、心の方の問題でなかなか酔えないのだろう、落ち込んだ様子のままだったが、レンは辺りが薄暗くなって来た頃にそう声をかけると、ハグリッドは小さく頷いた。
「おめぇさんにも迷惑かけちまった。」
「私は迷惑だなんて思ってないわ。ハグリッドはいつでも私の味方で居てくれるじゃない。私もハグリッドの味方でいたいの。」
まだ小さい頃、シャルと今の館に暮らし始めて間もない頃だ。
伯父に体罰を受け泣いていた時、泣き止まずに困ったシャルは時々だがハグリッドを連れてきてくれ、ハグリッドは文句一つ言わずにレンを抱きかかえると、楽しそうに魔法生物の話を、レンが眠るまでしてくれていた時が何度かあったのだ。
「あんがとう」
ハグリッドはボロボロと大きな瞳から涙を零し、レンをきつく抱き締めた。
「昔、ハグリッドはこうして私が眠るまで色々な話をしてくれた事があったわよね。ハグリッドの授業、あの時みたいで、ちょっとワクワクもして楽しいし嬉しいの。」
レンはハグリッドを真直ぐに見て微笑みながらそう言えば、彼の頬に手を伸ばしその涙を拭う。
トントンッ
そんな時、遠慮がちに扉をノックする音が聞こえ、レンはハグリッドを見ると、小さく頷いたのでレンは緩んだ腕から抜け出し、扉をゆっくり開ける。
「レン!此処に居たのか」
扉から予想外にレンの姿が現れて、扉の向こうに立っていた人物はとても驚いた様だった。