第12話
「いらっしゃい、レン。待ってたよ。」
その後の日曜日、レンはリーマスの招待を受けた。
昔にRJLとして手紙をやり取りしていた時の様に、梟がメモを持って来てくれたのだ。
“よかったら一緒に昼食でもいかがかな?”と。
「お招きいただき光栄ですわ」
レンはふざけながらそう言えば、リーマスもクスクスと笑う。
まるでこの空間だけ、あの家の中に居る様だった。
いつものように一緒に昼食をとって、紅茶を飲みながら、ごく普通の会話をする。
そんな日常がこんなにも楽しいと気付かせてくれたのは、今目の前に居るリーマスだった。
「今日はね、レンに話しておかなければいけない事があって呼んだんだ。勿論、こうして食事をするのも私にとっては至福な時だが、他者の口から聞かされる前に、自分の口で伝えなければならない、そう思ってね。」
レンはなんだろうと、首を傾げると、リーマスは苦笑を浮かべる。
「この前の授業、ボガートが私を見て何に変身したか覚えてるかな?」
「…月…」
レンはあまり興味なさそうにそう答えると、リーマスは「正解だ」と微笑んだ。
「月が恐ろしいと思う者は、ひとつしかない…そう、私は人狼なんだ。子供の頃に噛まれてしまってね」
レンは顔色ひとつ変えずに、それがどうしたというような表情で彼を見て話を聞いている。
「今まで黙っていてすまなかった。手紙だけでやり取りをしていた理由も、私がレンを引き取ると強く出れなかった理由も、そこにあったんだよ。私は臆病者だからキミに拒まれるのが、キミを傷付けるのがとても怖かったんだ。けれど今はそんな事を言ってはいられない。私が黙り続けている事で、傷つけてしまう…私はそれを繰り返したくはなかった。ただの自己満足なのかもしれないね。」
レンが表情一つ変えずにいたのがショックを受けて動けないのだとリーマスは思ったのか自嘲的に笑った。