「リーマス…私がその程度の事で傷付いて避ける様な人だと思った?」
小さく笑みながらそう言うと、今度はリーマスが動きを止める番だった。
「私は…言いたくても打ち明けられない悲しみも、言ったら避けられてしまうかもしれない恐怖も…みんな知ってるわ。もし私の秘密をリーマスが知らなかったら、私はリーマスに話す事が出来ない。…だって、リーマスは私にとってとっても大切なお兄さんみたいな人で、こんな何気ない日常が幸せだって教えてくれた人。これを失いたくないって、傷付けたら離れていかれたら…そんな恐怖が拭えない。それに比べてリーマスはちゃんと打ち明けてくれた。だから、私はリーマスを臆病者とも思わない。それが理由でたくさん傷付いて来てるんだもの。それが多ければ多い程、言えないのも怖がるのも普通なのに…それなのに言えるんだもの。凄いと思う。」
彼はこんな反応が返ってくるとは思っていなかったのかもしれない。
もしかしたら、心の奥底ではこう言ってもらえる事を僅かながらに信じていたのかもしれない。
「人狼なんてちょっとした問題なだけよ。人狼だろうと吸血鬼だろうと巨人だろうとトロールだろうと、リーマスはリーマス、でしょう?今まで私を自分の子供でもないのに気にかけ支えてきてくれて、今は家族だと母の代わりに見守りたいって言ってくれた。私はそんなリーマスが大好きよ。とっても大切なリーマスに変わりないわ。」
レンは真直ぐにリーマスを見ながらそう言うが、リーマスは驚き止ったまま言葉が出ない様子だった。
そのまま動かなくなってしまったリーマスに、忘れてた。と、レンは思い出したかのようにやり終えた宿題を取り出すと、立ち上がりリーマスの机の上に置いた。
するとリーマスは背後からレンをぎゅっと今までよりも強く抱き締められ、レンは思わず驚き身が少しだけ跳ねるが、リーマスの体が少しだけ震えている。
自分が、ハリーに敵討ちをすべき人間の子供なのだと、伝えたくても伝えられなかったあの気持ちと同じ気持ちを味わっていたのだろう…。
レンは抱き締めるリーマスの手に自分の手をそっと添えて、ニッコリと優しく笑みが浮かんだ。