暫く森の中を進んで行けば、少し開けた場所にその姿はあった。
「やっぱり、あの時のワンちゃんね?ホグワーツまでついて来ちゃったの?」
レンがそう声を出せば、その黒い犬はビクッとその場で飛び跳ねた。
そうしたかと思うと、何処からとも無くクルックシャンクスがレンの脚を潜り抜け犬の足元まで行くと、犬の脚に体を摺り寄せゴロゴロと喉を鳴らしている。
「クルックシャンクス、このワンちゃんとお友達だったの?そんなに喉を鳴らして…とっても仲良しみたいね。」
その光景に少しだけ笑みを浮かべ言うと、クルックシャンクスはレンの顔を見た後にジーッと犬の顔を見ている。
何か話しでもしているのだろうか…動物の言葉が判れば、楽しいだろうに…。
「ちゃんとご飯は食べているの?初めて会った時からあまり変わってないみたいに見えるわ。…何か食べ物持ってくれば良かったわね…。」
レンはその場に膝をつき、おいで?と手を差し出すも犬は警戒をして近寄っては来ない。
その代わりにクルックシャンクスが近寄ってくれば、その手に体を擦り寄せ、レンは嬉しそうに笑みクルックシャンクスを撫でていれば、犬がゆっくりと近寄って来てくれ、そっと撫でてみるも犬は目を細めただけで動こうとはしない。
「ふふ、捕まえた。」
レンはそれに嬉しそうに頬を緩ませては首に抱きつく様にして抱きしめて言えば、その犬はそっと目を細めた様だった。
「不思議ね。こうしたの初めてなのに、懐かしい香りがするわ。昔、この香りが大好きだった…そう思える様な香り。」
そう言いそっと身を離すと、その犬の瞳はどこか潤んでいる様にも思え、レンは小さく首を傾げるも、犬は何かの気配を感じたのだろう、レンの側から逃げる様に森の奥へと消えて行く。
森の出入り口辺りまで戻ってくれば、城から家に帰る途中のハグリッドに鉢合わせてしまい「1人で森に入ったらいかん!」と叱られてしまうも「クルックシャンクスとそのお友達を追って遊んでたのよ。」と言えば、叱っていたのを忘れたのか相変わらず動物が好きなんだなとハグリッドは笑った。
だが、厳重体制の今、遅くまで外にいるのは危ないとハグリッドはレンを城の中まで見送ってくれる。
レンは、その後ろ姿を誰かに見られている様は不思議な気配を感じていた。