「急いで来たのは認めてやろう…だが、次は遅刻しないように。」
「すみません先生。」
まだ寝癖の残った髪を撫でながらレンはそう謝れば、スネイプはフンッとだけ言い、黒板の方を向く。
「今学期、我輩が特別に教える物は、ある薬の煎じ方だ。必要な材料と方法は此処に書いておいた。先に写しておけ。」
「はい、先生。」
レンは近くの机に荷物を置き、羊皮紙、羽ペン、インクなどを取り出せば、一字一句間違いの無いようにソレを書き写し、スネイプはなにやら調合を始めている。
だが…レンはこの薬がなんなのか全然解らなかった。
唯一解る事といえば、今までの授業で使った事がない多分高価であろう材料が多い事。
そしてトリカブトの一種がその材料の中にある事…。
「終わったら我輩の煎じ方を良く見て覚えろ。次の授業にはお前に煎じてもらう。」
「はい、先生。」
レンは体で覚えろ的な言葉の少ないその授業を、重要なものを見過ごさぬようにジッとスネイプを見続け、特別授業はあっという間に終わってしまった。
「以上。次の授業は大体一ヵ月後に行う。日付はまた追って知らせよう。」
トリカブト…そして今月、来月共に必要な物…でレンは何となくその薬が何なのか解ったような気がした。
「先生、その薬って…もしかして脱狼薬ですか?」
スネイプは小さく頷いただけだった。
リーマスの為にスネイプが薬を煎じてくれている…。
レンはそれを思うとなんだか少し嬉しかった。