第19話
その日は、心地良い期待感が辺りを満たしていた。
夕方にボーバトンとダームストラングからお客様が到着する事に気を取られ、誰も授業に身が入らない様子だったし、あの魔法薬学でさえ、いつもより30分短い為、喜んでいる生徒が多かった。
早めの終業ベルが鳴り、ハリー、ロン、ハーマイオニー、レンは急いでグリフィンドール塔に戻って指定されていた通り鞄と教科書を置き、マントを着てまた急いで階段を御リ玄関ホールに向かえば各寮の寮監が、生徒達を整列させている。
「ウィーズリー、帽子が曲がっています。」
マクゴナガルも緊張しているのか、色々な生徒の衣服の乱れなどを注意して歩く。
「ミス・パチル、髪についている馬鹿げた物をお取りなさい。」
パーバティは顔を顰めて、みつ編みの先につけた大きな蝶飾りを取った。
「ついておいでなさい。」
1年生を先頭にし、学年ごとに並ぶと、並んだまま正面の石段を下り、城の前に整列をした。
晴れた寒い夕方だった。
夕闇が迫り、森の上の方に青白い月が輝き始めている。
皆が、各校のお客様方はどのようにホグワーツに来るのだろうと話している最中に、ダンブルドアの声が辺りに響き渡る。
「ほっほー!ワシの目に狂いがなければボーバトンの代表団が近付いてくるぞ!」
レンはダンブルドアが見ている方向を見つめれば、確かに何かが此方へと近付いてきている。
「ドラゴンだ!」
6年生の生徒が「あそこだ!」と言い指差した方向をみて、気が動転した1年生がそう叫ぶと、あのコリンの弟、デニスが「馬鹿を言うなよ!あれは空飛ぶ家だ!」とそれを否定する。
確かにデニスの言っている事は正しかった。
12頭もの天馬が巨大なパステルブルーの家のような馬車を引き、こちらへと飛んできているのだ。
馬車がぐんぐん高度を下げ、猛烈なスピードで着陸態勢に入ったので、前3列の生徒達が慌てて後ろに下がる。
するとドーンッという衝撃音と共に、ディナーの大皿よりも大きい蹄が地を蹴り、その直後馬車もバウンドしながら着陸をした。