「ダンブルドア!やあやあ暫く。元気かね?」
「元気いっぱいじゃよ、カルカロフ校長。」
男が朗らかに声をかければ、ダンブルドアは挨拶を返した。
カルカロフの声は耳に心地良く、愛想が良いように見えたが、それは全くの演技なのだとレンは気付いてしまった。
そう…カルカロフの顔は話をしながら笑っても、瞳は全然笑いもしないのだ。
冷たく、抜け目のない瞳…まるで死喰い人のような目をしているとレンは思った。
「此処に来られて本当に嬉しいよ。…ビクトール、こっちへ。暖かい所へ来るがいい…ダンブルドア、構わないかね?ビクトールは風邪気味なので…。」
そうカルカロフは言うと、1人の生徒を差し招いた。
その青年が通り過ぎたとき、レンはチラリと顔を見れば、その見覚えのある顔に驚きを隠せなかった。
曲がった目立つ鼻、濃く黒い眉…その年齢であることを疑った外見に、その者がみせてくれた試合を良き思い出とともに忘れられるはずがない。
「まさか!…クラムだぜ、ハリー!ビクトール・クラム!」
ダームストラング一行の後について、ホグワーツの学生が整列したまま一段を上がる途中に、興奮したようにロンが言った。
「ロン、落ち着きなさい。たかがクィディッチの選手でしょう?」
「たかがクィディッチの選手?」
ハーマイオニーの言葉を聞いて、耳を疑うという顔でロンがハーマイオニーを見た。
「ハーマイオニー、クラムは世界最高のシーカーの一人だぜ!まだ学生だなんて考えても見なかった。」
レンはそんな学生の中を特に気にもせずに大広間へと向かって歩いていく。
「なんだかご機嫌斜め?」
ハリーはレンの方を見てそう言えば、レンは思わず笑ってしまった。
「そんな事はないわ。ただ…ロンや…そこの女子達みたいになれる感情が私には判らなくて。」
丁度横を通りかかった女子生徒が、どうして羽ペンを持っていないのか、とか、口紅でサインしてくれるだろうか、とか話しているのを見て、レンは小さく溜息を吐いた。