「バグマンさん」
レンは彼がいなくなる前に席を立ち、彼の元へと急いで歩み寄れば、驚いたのはバグマンだけでなくその側にいた教職員達も驚きを隠せない様だった。
「おー!これはミス・クレスメント!お会いできて嬉しいよ。どうしたのかね?」
レンは少し言い難そうに眉を顰め、視線を合わせてもらう。
それに彼の耳元に口を寄せれば一言呟いて直ぐにはなれる。
そう…
"ウィーズリー家の双子…フレッドとジョージの話を少しだけでも良いから聞いてあげてください。聞けないのなら理由を話してあげて欲しいんです"
お願いしますと頭を下げて再度言えば、バグマンは困った様にしてから笑い「判った」と言ってくれる。
それを信じてしまった事が、レンは後々自分がまだ子供なのだという事を思い知るという事を、今は知りもしなかった。
「お前は…クレスメントなのか?」
そう恐る恐る声をかけてきたのはカルカロフ校長だ。
「はい。レン・クレスメントと申します。」
礼儀正しく挨拶をすれば、カルカロフは軽く頭を下げただけだ。
それ以上、言葉を交わす事はなかったが、どこか脅えた様子だったのが、彼はレンの秘密を知る死喰い人なのだろうという事を示しており、レンもそれ以上話をしようとは思わなかった。
「丁度良いところに来てくれたの。」
ダンブルドアはほっほっほっと楽しそうに笑いレンに声をかけてくれる。
「レン、ワシと1つ約束をして欲しいのじゃが…良いかの?」
「はい。」
そう言うと、ダンブルドアの瞳が悪戯少年のように輝く。
「誰に頼まれても、年齢線を越え、ゴブレッドに羊皮紙を入れる事はせぬと…」
「私にダンブルドア先生の魔法が破れるとは思っておりませんし、元々そのような事をするつもりはありません。命を落としかねない危険な事に友を投げ入れたくはありませんし。」
その答えに満足したのか、ダンブルドアは再度笑うと「おやすみ」と声をかけてくれ、レンも「おやすみなさい」と挨拶を交わせば、寮へと戻って行った。