こうしている今でさえ、ハリーはとても不安に思っていると思う。
普段通りなら、此処でハリーとロン、ハーマイオニーが、試合について楽しく話している事だろう。
セドリックを応援しながら…第1の課題は何かと、どんな風に皆乗り越えていくのだろうかと…。
「レン、どうしたの?」
ハリーのその言葉に、レンは顔を上げ小さく首を傾げると、ハリーはマント越しにレンの頬をなぞり零れた涙を拭ってくれる。
いつの間にかにレンは涙をこぼしていた事に、小さく苦笑を浮かべた。
「今、ハリーはどんなに辛いんだろうって思ったの。…誰かの悪意がなければ、普通に過ごせていたのに…」
「大丈夫だよ、僕。」
ハリーは安心させる様に、無理矢理に微笑んでくれる。
「…私ね、ロンに話したの。…ハリーには共に分かち合ってきた親友のロンが必要で、その代わりは私にもハーマイオニーにも出来ない。…私は、今も遠い未来も…3人はいつも一緒で幸せに笑っていて欲しいって。」
「僕、ロンが必要だなんて思って、ない…。」
ハリーの無理矢理搾り出した言葉にレンは苦笑する。
「あれからハリーが本当に笑えてないの、私知ってるわ。」
「それは…うん、試合も近付いてきてるし、あるかもしれない。けどもうすぐ…」
ハリーは言葉を続けようとしたが、ハッとした様にそのまま呑み、視線を上げる。
レンは少しだけ不思議に思い、同じように視線を上げると、ハグリッドがこの店の中に居たのだろう…カウンターの方から此方へ向かって来ていた。
「元気か、レン?」
「えぇ。こんにちは、ハグリッド。」
「元気そうだな、クレスメント。」
「こんにちは、ムーディ先生。」
一緒に飲みに来ていたのだろう、ハグリッドの裏から自分の携帯用酒瓶をグイッと飲み、近づいてくるムーディに挨拶をすると、ムーディは、レンの前で少しだけ身を屈める。
レンは自分が膝の上に置いた本を見ているのかと一瞬思ったが、その考えは直ぐに消し飛んだ。
ムーディの片目…そう、魔法の目がしっかりとハリーを捉えているのだ。