「良いマントだな、ポッター」
「先生の目…あの、見える…?」
ニヤリと笑み囁いたムーディに、ハリーは驚きを隠せない様だった。
「あぁ、ワシの目は透明マントを見透かす。そして…時にはこれが、これがなかなか役に立つぞ。」
自分の直ぐ近くにムーディの顔があり、レンは少しだけ苦笑を浮かべてハグリッドを見上げたが、僅かに香った香りにほんの僅かに首を傾げる。
香りの持ち主はムーディ…。
自分の目の前でムーディが話した一瞬だけ…僅かに嗅いだ事のある香りがしたのだ。
どこかで…そう引っかかった疑問に、レンは再度ムーディを見たが、次にムーディが言葉を発した時には、その香りを嗅ぐ事はなかった。
ハグリッドもムーディを真似るように少しだけ屈むと、本に視線を落としたまま「ハリー、今晩、そのマントを着たまま俺の小屋へ来いや。」とハリーに聞こえるように小さな声で言うと体を元に戻した。
「レン、お前に逢えて良かった!」
少し大きめにハグリッドはそう言うと、ウィンクをして去っていき、ムーディもその後に続き消えていった。
「レン…あの、僕…」
ムーディ達を視線で見送ると、そのまま本に視線を落としたまま視線も体も動かないレンに、ハリーは遠慮がちに声をかける。
「あ、ごめんなさい。何?」
「ハグリッドが今晩、僕に逢いたいって…どうしてだと思う?」
「ハグリッドがそう言うからには…ハリーに見せたい、又は聞かせたい何かがあるんだわ。」
「どうしよう…僕…」
レンに言い忘れてたんだけど…と、少し申し訳なさそうにしているハリーに、レンは小さく笑みを零す。
「シリウスと今晩話す約束をしているんだ…僕…」
「…けどハグリッドが夜遅くに呼び出すだなんて今まで無かった事だわ。急いで行って、時間に間に合うように帰ってきたらどうかしら?」
ハリーはレンのその提案に同意してみせ、ホグワーツに戻ると早めに寝室へと上がって行った。